第二十七話 二つ名との小競り合い。
――アドリアーネ中央塔。
黒馬はようやく立ち止まる。だがそれは目的を達したという事で……。
城門から長い間駆け抜け続け、ようやく辿り着いた中央塔。
「長かった……」
途中、レイナスは自分の間違いを認めた。ひとつの都市というのはとんでもなく広いものなのだと。
建物一つ並みの大きさの馬でも全く速度が足りなかったので途中、黒馬と騎士を雷化させ雷の速度で進んできたため、かなり早く到着した。
途端に、中央塔前で二人の人物と遭遇する。
「貴方がレイナスっすか?、私は影姫のキュリス=アテライド」
「私はジャニーヌ=デュパイエよ。操積の」
ジャニーヌは長い黒髪を直線で流し、茶色い外套に標準的な冒険者の服装と、洒落っ気の無い恰好をしている女性。
「ど、どうも……レイナス、です。二つ名ない、です……」
おどおどと、堂々と待ち構えられたレイナスが萎縮する。眼光が鋭くて純粋に怯えている。
ユーリウスのものより若々しくヤル気と精気に満ちた眼。
「二つ名は化物には不要。では、討滅依頼を受けましたので、さようなら」
ジャニーヌがそう告げると、直後。挨拶のため鞍から降り立っていたレイナスの隣に佇んでいた、黒馬と騎士が瓦礫に入れ替わっていた。
いや、入れ替わった様に見えただけで、瓦礫に衝突して吹き飛ばされた様に黒馬がレイナスの背後に吹き飛んでいく。
「倒したら駆け付けます」
「りょーっす」
キュリスが緩い返事と共にその姿がレイナスの視界から消える。その事実に首を傾げる暇もなく、ジャニーヌが横を通り抜けていく。
止めようと思ったわけでもないが何気なく行く先を振り返ろうとするレイナスの身体に、無数の地面から生えた黒い棘が突き刺さる。
「んー……?」
とりあえず中央塔についたから進めばいいか、と。
あまり二人を気にしていないレイナスは身体に刺さった棘を、身体を流動体に変えてずるん、と棘を透過して歩き出す。
「報告通りの化け物っすねー。どうしたらいいんすか?、考える暇もなく呼び出されたんすけど」
いつの間にかレイナスの背後に現れたキュリス。
何かの魔物の素材が使われた特注の軍服を見に纏い、その袖は腕より長く余りある。下は短いスカート型のこれまた特注の軍服使用。足には膝まである軍靴の様なものをはいている。頭髪は金一色で肩くらいまでの直線。その頭には軍帽までも被っている。基調はどれも黒。微妙に膨らんだ胸を持つ女性。
反応なく、歩みを止めないレイナスに仕方なく前方に黒い壁を作りその行く手を遮る。
さらに同じものを周囲上下に展開し閉じ込める。無抵抗のまま閉じ込められていくレイナスに困惑しながらもその手順に抜かりはない。
「どーっすか?抜けられますか?人類最高峰、二つ名影姫。アドリアーネに来るまでは何個も都市を落としたこのキュリスちゃんを振り切れますかー?」
どやどやと、片手でピースを作り前に押し出す。
「お?」
じゅわぁ、と影で作った壁が解けてゆく。中から出てきたのは炎をその身にまとったレイナスで……。
「うわー、もうばれちゃいましたか。そういえば火、だせるんすもんね」
レイナスは振り返りもせず、壁が解けたそばから歩みを再開し中央塔へどんどん近づいてゆく。
余裕のレイナスと対照的に焦るキュリス。
「足止めとかできないじゃないっすか……」
仕方なし、と両手で忍者の様に印を結ぶ。黒い球体をレイナスの眼前へ発生させ、これはなんだろう?と小首を傾げる可愛い顔を、球体を爆ぜさせ吹き飛ばす。
周囲の建物もろともに中央塔から遠ざかるように爆発と爆風で吹き飛ばす。流動体になれるのなら全てまとめて吹き飛ばすしかないと。
「スライムも流動体っすけど、あれは燃えるし。でもこの人自分から燃え出すし、いきなり手詰まりなんすよ……。考えられるのは三つぐらいっすけど、通用しなかったらどうしよ」
それでも三つの手はあると、必ず成功させるために仲間が集まってくるまでは時間を稼ぐ。
国王の話では三人の二つ名が後から合流できるらしいが時間はわからない、なら頼りになるのはもうすぐ戻るであろうジャニーヌのみ。
次の黒球体を眼前にできるだけ準備しながら吹き飛んだ方角を見るが……。
「普通に吹き飛ばされてるし」
あのくらいの爆発では何事もないだろうに、遊んでいるかのように普通に吹き飛び地面に倒れている。
のそのそと起き上がり、目の前で爆破されたのにも関わらず、傷どころか汚れ一つない恰好で再び歩いてくる。
様子見が終わらない、相手の手の内が何もわからないのだ。とりあえず、とキュリスはできた傍から黒球体をレイナスへ向け放ってゆく、自動で追尾するよう術を施しているので爆風ですぐ見えなくなるが全弾命中しているはずである。
爆発で舞い上がる粉塵。
しかし、その巻き上がった埃すらも飲み込むかのように天高く火柱が噴き上がる。その範囲はかなり広い、瞬く間に中央塔の方へ広がり、キュリスもろとも炎が塔を飲み込んだ。
「や、やばすぎっ」
キュリスは地面の下から地上の惨状を見上げていた、すんでのところで影の中に回避し熱もろともに遮断し難を逃れたが、これでは……。
「到達されちゃったも同じこと…てかされたっす」
まずい、と顔を歪ませながら離れた地点の瓦礫でできた影から姿を現し、塔を見上げるキュリス。
かなりの高温なのだろう、都市で一番防御術式が多重に張られ、その素材すら希少金属でできている中央塔の外壁が融解し始めている。
「防御術式は即座に貫通、さらには希少金属すら溶かす……生身で当たったら一撃死……っすか。ていうかそれ以前にそんな炎あり得ないでしょー……」
「キュリス。こっちは終わったわ」
そこへ駆けつけるジャニーヌ。
特に負傷らしい負傷は見当たらない。
「ちょうどいいところに。あいつを止める方法、思いつくのは三つだけっす。そのうち二つは私ができるんすけど、二人でやりますか?」
「到達されてしまったのね……、最悪、生身の捕虜のハーピィを殺せば目的の妨害はできるけど……。なんなのこの炎。通常の火に類するものではないのかしら?」
通常、防御魔法を突破するのは剣士なら闘気の込められた剣。魔法使いなら魔力を込めた炎。ただの剣や、炎では干渉できない。破壊を可能としている本質は個々の闘気や魔力なのだ。
つまり普通の火や鉄では破壊はできない。
そして他者の防御魔法に属性の影響は出ない。燃えたり感電したりなどはしないもの。
であるにも関わらず中央搭は燃やされ、その熱から融解している。
「でもいつかはあいつも討滅しなきゃいけないっすよね。弱点が何かわかればいいんすけど……。私の所見だとスライムの様な流動体なので弱点を付けば消えるはずなんすよね」
「その弱点が解らないわね、国王からの報告だと交戦したユーリウスが確認しただけで雷、火、細菌、巨人、謎の何か、泥、動物各種、と……。在りえない上に信じたくないけど、なんにでも変化できるのかしら?基本は人間?」
「それ人間っていうんすか……。エレメントゴーレムとかが耐性的には似てるっすけど、弱点は物理で核を壊すこと。ただ人間モードの時に何回も爆発させて、主要な機関、脳やら心臓やらは串刺しにしたんで核がどこかはわからんっす、そういうのがあるのかどうかも」
「なら最初に言ってた二つの方法を試してみようかしら?」
「ぶっちゃけ、束縛魔法と封印魔法。どっちも私得意っすけど。もしそれが苦手なら全力で拒否ってくるとおもうんすよね」
「私が前衛をやるからその隙にね」
「りょーっす」
作戦が決まった二人は耐炎魔法を行使できるだけ掛け合い、最後にキュリスの作った影の防壁をジャニーヌにもつけ、二人で突貫する。
「ある程度は耐えられるかもっすけど、過信はないように。その防壁壊れたら生身っすよ」
「………あの、すでに熱いのだけど?」
近づけば近づくほど、焼けては居ないようだが影で覆われている肌がじりじりと熱くなる。
「この火、異常っす。きっと自然界の物じゃない、牛炎魔王とかが吐き出すような火と同じやつっす」
「殆ど伝説並みの化け物じゃないそれ……」
やれやれ、と急に呼び出されたのに過酷すぎる依頼に肩を竦める二人。
狙いの捕虜ハーピィがいるのは地下施設とわかっている、更に中央塔の避難は終了しているとのことなので人命の危険はない。ならばと、ジャニーヌは先ほど黒馬と騎士を屠った様に、手ごろな瓦礫を拾い上げ中央塔根元に投げつける、破砕音と共に根元が砕けバランスを失って倒れ込む塔。
希少金属を使っているのに何故瓦礫で壊れるのか。
操積の名の通り。操れるのは触れた物体の体積、限りなく小さくも大きくも可能。だがそれ以上にその物体の構成要素を変えることも可能だった。より希少金属へと変換し投げつけ破壊した。
永続的ではないため悪用はできないが。
中央塔よりも価値が高く硬度のある鉱石へと変えた瓦礫を巨大化させる、そうすることで根元から破壊し中央塔の邪魔な地上階部分を破壊し取っ払う。
狭い場所で戦うなと炎を出す相手にそんな愚策な事は行えない。
「もうここまでだけで被害がすごいわ……ここアドリアーネなのに」
戦力が最先端。揃っている知識も力も、魔法も全てが最高峰のはずの都市はレイナスが通った個所はかなりの被害か及んでいる。
特に火災。ランク後半の冒険者たちが駆けずり回って燃え移った火を消しているが、氷魔法で囲っても、水魔法をかけ続けてもなかなか消えない。知識ある者はこれが自然界のものではなく、より上位の炎だと確信している。その空間ごと切り飛ばせればいいがそんな魔法を使えるのはユーリウスのみである。
仕方なく体内魔力を全開近くまで使用し炎の広がりだけでも抑えているが既に都市内五分の一程が焼け落ちている。
「ま、そっちは一旦お任せして。いたっすよ」
塔破壊後、地下への階段を駆け下りていた二人。その螺旋階段の途中でいままでと変わらずのんびり歩くレイナスの姿を見つける。
「そっちには、いかせないっす!」
まず手始めの束縛魔法、具現化した魔法の鎖を自在に操りレイナスの身体へ巻き付けていく。
さらにそこから影を伸ばし球体状にからめとる。加えて魔力の網で包み込み。その上から更に影を覆わせていく。
「まだまだぁ!」
魔法の重ね掛けを続けながら鎖を操作し、地上へと、包んだ球体ごと壁と階段を破壊して放り出す。鎖のついた鉄球のように放り投げられ地上まで押し戻されるレイナスは……。
「なかなか辿りつけないような……、はふぅ」
特に何も気にしていなかった。
同じように火を体に纏い、影を消し飛ばしす。さらにその熱で魔法の鎖まで壊れてゆく。
レイナスは鎖は鎖で壊さなければならないと思っていたので勝手に壊れて消えた鎖に不思議そうに小首を傾げる。
「スライムの王様みたいなかんじっすねー!」
立ち上がったレイナスに、同じく地上へと飛び上がってきた二人が声をかける。
その周囲には油断なく攻撃用の魔法が準備され、ジャニーヌは両手に複数の瓦礫を持っている。
「ひんやりしてて気持ちいい……よね」
三重の理由で言葉に詰まる二人。まずスライムと言えど魔物、それを日ごろから触って楽しんでるみたいな口調で、というかそんな話題は聞いたことも無かった。
二つ目に、化け物と思っていたがやはり人間なのか、普通に話が通じたこと。そして三つ目にとんでもなく可愛い声音だったから。
きつい声でもなく、周囲に広がる参上とは不釣り合いすぎるほどのんびりとおっとりした声。
周りの環境が環境ならそのままのんびりと話し込んでしまいたくなる。
「緊迫した戦場で、こんな声聞くなんてねぇ……」
「でも化け物っすよ、殺すんす」
「わかってるわよ、いざ…!!」
会話のためか立ち止まったままのレイナスに突っ込んでゆくジャニーヌ、片手に持った礫の一つを放り投げ、当たる瞬間に勢いよく膨張させる。
骨の砕ける鈍い音がしてレイナスが後方へ吹き飛ぶ。膨張速度が凄まじく音速の瓦礫がぶつかったのと同じような衝撃が襲う。
またも大きく後退させられるレイナス。その姿は視認できなくなるほど遠くまで吹き飛んだ。
「まだまだ!!」
キュリスは封印魔法の準備を始めている、幾重にも幾重にもかけるため時間を喰っている。
その時間を稼ぐため追撃せんと駆けだすジャニーヌ。
「もう、吹き飛ばすの、だめー…」
何か、光が見えた。次の瞬間背後から聞こえる敵の声。
「速い!?、くっ……!!」
後ろを取られた、ならば振り向かねばならない。
「あ、れ……なに……」
ジャニーヌは振りむこうとするも身体が何かに固定されて動かない。
「ぐ……あ、ぁ……」
「ジャニーヌ!!!抜いて治すんすよ!!、逃げるんす!!」
……キュリスの声かしら、なんだかうまく聞こえない……、それに、体が重い……。
「おやーすみぃ……」
何故だか鮮明に聞こえるレイナスの声と同時にどさりと、一瞬のうちに後ろから腕で身体の中心を突き破られたジャニーヌが腕を引き抜かれ崩れ落ちる。
……地面?、私負けたのね……。血も、見える……。
おぼろげな視界と思考の中、ゆっくりと、アドリアーネ最高戦力の一人が目を閉じた。
――エルフ国。
人間種はエルフから嫌われている、が国交はあり、一応は友好国とされている。
そんな二国間には転移魔法が設置されていて限られたものだけだが一瞬にして行き来することも可能となっている。
現在、ユーリウスはエルフ国の王宮中央塔に転移していた。塔と言っても緑の生い茂る森の国の巨大樹の中に作られた宮殿風の内装の建物である。
ライザは当然の如くここには来ていない。一国の主がおいそれと他国の中心部になど来れるわけがないからだ。
横たわり治癒魔法と延命魔法をかけ続けられているユーリウス。
国王の使いであり側近でもある従者たちが頭を垂れ、治療を懇願していた。
「頭をさげずともよい……もともと、要請を受けたときから治療は施すものとして決めていた」
エルフの女性。こちらも国王の側近であるが、武官ともいえる存在。
長い尖った耳に白髪、初老なのか眼の下に皺が見えるがその他の肌には艶と張りがあり、とても美しい。白髪は老化ではなく、エルフに多い髪の色なのだ。
「そうなのですか…?、有り難いことです。この御恩は必ず……」
木材であつらえた床、壁は白く、家具は大抵が木でできているが品質はかなりのもの、高価で希少な銀色の木皮や、植物の蔦、葉、果実などの殻、自然のものをふんだんに使用した豪華な装飾がなされた部屋。
エルフ国はあまり来訪者を通さない、というか来ない国なので応接室というものがなく、この綺羅びやかな場所が広間兼応接室の様なものとなっている。
円上のテーブルを挟み対面するのは初老のエルフ、マグネビア
「ユーリウスは人間の身にして魔導の道を極めておられる。なかなか好感の持てる人物…。中にはエルフの真似事をと蔑む輩もあるがな。
それとその御恩とやらは別にいらん」
「しかし、これほどの事をしていただけるとなると……」
人間がエルフ国へ来ているという事、この事態がかなりのプレッシャーとなって使者に押し寄せている。いくら外交などを多くこなしている国王の側近といえどエルフ国は敷居が高すぎる。ましてマグネビアの威圧感が途轍もないのだ。
「わからんか。ユーリウスを直すのは、エルフきっての大魔術。貴様ら人間に返せる程度のものをあてがわれるほど矮小なものではないという事だ」
実際にその通りである。立地的な資産から見ても、人間三カ国のどの国も資源的に全く優れておらず、さらに古代遺跡の様なものもないため出土品も無く、実力や一芸に秀でているわけでもない、多少強いのが数十人いるのみという、そのうえ野心が強く領土戦争をたびたび起こす野蛮な猿として見下されている。
とても、世界のどの種族も不可能な欠損部位の完全回復を完璧にこなして見せるエルフの秘匿術式は他に変わる者の無い最高の価値がある。
ユーリウスの焼き貫かれ失われた臓器も完全回復することは疑う余地がない。
「は、はい……」
ごにょごにょと、他国の者と使者として話すにあるまじき行為だが言葉を濁して返事をする他やりようが無かったのだ。
何か下手を打って機嫌を損ねては困ると。
三人の側近は一刻も早く、ユーリウスの治療が終わり目覚めてくれることを願った。
「では、治療にはいる。貴様らは邪魔だから先に帰れ。外にエルフの護衛隊を五隊ほど用意してある。総勢50名だ。うまく使え、指示は聞く様に教えてあるのでな」
……意識の無いユーリウスを置いて使者が全員帰るというのは……異議を、申し立てなければならないのではないか……。
そんな目くばせを三人の間で行うが、言い出せる者などおらず。好意的に思われているユーリウス殿なら大丈夫だろうと、すごすごと帰っていくのであった。
茶色いローブを三人とも着込んだ側近たちは大樹の王宮の外へ出ると、そこには言われた通り50名のエルフと隊長であろう、一際立派な鎧を着こんだエルフ、そしてその隣に立っている補佐らしきエルフがいる。
エルフの標準装備は、特にない。長いワンピースの様な普段着を着ているのみである。
これでも一流の戦士たち、王宮護衛兵の末端である。
装備については有名なので三人の側近は誰も突っ込まない。エルフはその魔法力の高さから常に自身の身体に沿って洋服の様な防御魔法をかけている、自身が意識を失わない限り永続的に続くものだ。下手な鎧より優れ、マグネビアクラスの物ともなれば龍の体当たりでさえ涼しい顔で受け止められる。
その魔法に対する自信と実際の有用性から、エルフは装備の類を着用しない。
武器についても同じだ。魔法力を高める多少の装飾や杖、儀礼用の短剣などを腰にさすことはあれど、その程度でしかない。
武器も防具も魔法でまかなう、いやそれこそ最良の武具。それが魔法の神に祝福された種族、エルフなのだ。
さて、そんなエルフの護衛隊が、まずエアハートの国王側近に放った言葉は……。
「貴様らの指示に従う気はない。戦場に連れてゆくことが貴様らの任務と知れ」
「え、えー……」
別に、自分たちの指示は聞かなくても構わないのだが。戦場では二つ名達が今頑張っている、戦場の冒険者達と連携を取れないのでは余計事態を悪化させかねない。
きりきり、と胃が痛んでくる側近たち。
「えぇと……私たちは特に指図をしようとは思っていません……ですが、今戦っている二つ名持ちの冒険者たちとは……」
「無論、人間種の様に愚鈍な真似はしない」
ここまで来ると人間怒りに転じてくるものだ。先程のマグネビアには途方もない緊張感があったが、この護衛隊長にはそこまでのものはない。怒りが湧く隙間があるのだ。
今更ながら人間種としてのプライドを見せつせてやろうか。
「ならば結構。良い働きを期待している」
できた事は多少偉そうに返すだけなのだが。
以降、言葉を交わすことなくレイナス討滅戦へと参戦するべく転移陣が起動する。
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