第4話 2学期 11.12月編
...ふぅ......。11月の下旬。期末テストを終えてアタシは駅から家に帰る途中だった。時刻は15時、雨。寒くなってきたな...そう言えばもう少しでクリスマス...それに神戸ではルミナリエ...あぁ...行きたいなぁ...とは言っても彼氏居ないしなぁ。ま、いつメンで行くか...ん?家の少し前の空き地で制服を着た悪そうな中学生っぽい奴らが何かをしている。よく見ると真ん中に身震いしながらかがんでいる制服を着た男の子が居る。
悪ガキ「さっさと金出せよ!!!」
男の子「っ...い、嫌だ!!」
悪ガキ「はぁ...?何舐めたこと言ってんだよ!!」
アタシ「おい」
悪ガキ「何クソ見てーな嘘」
アタシ「おい!!!」
悪ガキ「あ!?何だ......」
悪そうな学生がアタシに注目する。皆アタシの顔を見た瞬間さっきまでの余裕が無くなって顔が青ざめていく。
アタシ「何してんだよお前ら」
悪ガキ「...い、いや...これは...その......」
アタシ「さっさと消えなければ...血祭りに上げてやってもいいが...どうする?」
悪ガキ「すみませんでしたぁあああああ!!!!」
悪そうな奴らが急いでその場から去っていった。残ったのは囲まれていたドロドロの男の子だけだ。
アタシ「怪我はないか?」
男の子「あっ...はい...あ、ありがとうございます......」
アタシ「ならいいけど......」
このまま放っておくのもな...と言うことでアタシの家で少し預かる事にした。とりあえずその子を風呂に入れて制服を洗濯機に突っ込んでカバンは教科書とか出して全てストーブの近くに置いて乾かしている。着替えはパパの未使用の下着とアタシの昔使ってたもふもふのパジャマを用意した。数分してからその子がパジャマを着てリビングに来た。アタシはいつも通りの部屋着に着替えてリビングで煎餅を食いながらコタツに入りながらぼーっとしてた。
男の子「あ、ありがとうございます...助けてくれて...」
アタシ「お安い御用さ。何か飲むか?」
男の子「え、いや、そんな...」
アタシ「別にいいさ、ほら、何がいいんだ?」
男の子「あ、じゃあ...コーラで...」
コーラをコップに入れて男の子に渡す。にしてもメガネかけてて見た目真面目そうで身長150後半くらいの小柄な子だなぁ...すぐ目をつけられそうな感じだな...あれ?この子どっかで見た事あるような...?
数週間前。
ピンポーン。家のインターホンが鳴った。
ママ「はーい」
???「どうもこんにちわ。近くに引っ越してきた大谷と申します。よろしくお願いします」
ママ「あぁ、忍海と申します。こちらこそよろしくお願いします」
するとその横にいた男の子にも挨拶するよう母が合図する。その時アタシは家の階段を登ろうとしてて玄関をチラッと見たらママに挨拶している男の子が居た。
男の子「あ、よ、よろしくお願いします」
ママ「よろしくお願いします」
てことはつまり...。
アタシ「お前大谷ってとこの子か!!」
男の子「へっ!?あ、お、覚えてましたか...」
アタシ「割と最近だからな。アタシは忍海光だ。下の名前は何ていうんだ?」
重義「し、
ほう...重義か...。近くの野球が強いって有名な中学の3年生の15歳だと言う。中3とか懐かしいな...勉強しかして無かったな...。家はアタシの家の真正面だった。
アタシ「所で...何であんな事になってたんだ?」
重義「あぁ...別の学校の奴らに目を付けられてて...それであんな事になってたんです」
そう言われてみれば確かに制服別だったな......ん?待てよ?あの制服見覚えがあるぞ?スマホの写真をだーっと見ると分かった。
アタシ「すまない。アイツらアタシが通ってた中学と同じだ」
重義「えっ...!?だから追っ払えたんですか...」
アタシ「どういう事だよそれ」
重義「あい、いやっ...す、凄いなって思っただけで...」
なんか怯えている...ってそりゃそうか...アタシを見ただけでアイツら逃げていったから余計だろうな...あぁ...イメージを覆すのって大変だなぁ。
アタシ「まぁ安心しろ。もう来ることは無いさ。それでも来たらまたアタシに言ってこい」
重義「えっ...あ、ああありがとうございます......」
嬉しそうな顔をする重義。こいつ何か別の解釈してる気がするんだけど気の所為か?まぁ...何でもいいけど。
アタシ「彼女は居るのか?」
重義「え、い、いやぁ居ないですよ〜。最後に付き合ったのも小6の時なので...」
アタシ「確かにそんな感じがする」
重義「えぇっ!?は、初めて言われました...」
さっきから思うけどなんだこいつ、面白いな。揶揄うのに持ってこいな奴だな。
重義「ち、ちなみに...ひ、光さんは...居るんですか?」
アタシ「かなり前に別れた」
重義「あ、そ、そうなんですね...」
アタシ「何だ?その良かったみたいな顔」
重義「えっ!?そんな顔してますか!?」
重義がめっちゃ慌て始める。...やっぱり可愛いな。可愛いし何か面白い。ってアタシの事光さんって...何か変だな。
気が付けば時刻は17時を回っていた。制服もストーブで乾かしていたからある程度乾いた。
アタシ「時間は大丈夫なのか?親とか怒ってないのか?」
重義「あぁ...そう、ですね...そろそろ...出ます」
アタシ「ほう...そうか」
脱衣所に行ってアタシのパジャマから制服に着替えてカバンに教科書を入れて玄関に行く。
重義「あの...あ、ありがとうございました」
アタシ「はいよ。下着とかはまた別の日に返してくれたらいいから」
重義「はい。じゃあ...し、失礼します」
アタシ「おう。じゃあな」
そう言って家を出る重義。いやー...何か...楽しかったな。可愛すぎだろアイツ!!女かよって思うくらいだぞ!?今度来たら飯とか誘ってみるか.........ん?待て。アタシはあることに気付いた。アタシ...重義に恋してる...?重義の事...好きになってる......?えええええっ!?嘘だろ!?待て待て待て待て!!こんなに驚いたのは高校入学前までチョコレートの食べ過ぎで鼻血が出るのは全くの嘘だったって事に驚いた以来だぞ......ま、まぁ...とりあえず次会う時飯でも誘ってみるか...。
そして数日経った日曜日の朝の11時。
朝起きて顔を洗って拭いているとピンポーンと家のインターホンが鳴った。まさか...そう思いながら急いで顔を拭いてドアを開ける。
重義「あ...ど、どうも...」
アタシ「おぉ、お前か」
そこには私服姿の重義が居た。アタシの予測は的中した。
重義「これ...洗ったやつです」
アタシ「おぉ、ありがとな。ところで重義、今日暇か?」
重義「えっ...あ、ひ、暇ですね」
アタシ「よーし...今から飯でもどうだ?」
重義「えっ!?いや、そ、それは...」
驚く重義。あーもうこの反応一つ一つが可愛いんだよこの野郎。
アタシ「何だ?アタシの誘いがそんなに嫌なのか?」
重義「あぁっ、いや、そ、そうじゃなくて!!」
少し揶揄うとあたふたする重義。あーさっきからアタシ可愛いしか言ってないな...。
重義「その...光さんに...わ、悪いなって...思って...」
アタシ「はっ、別にアタシはどうってことも無いさ。まぁ、行くか行かないかは重義次第って事だ」
重義「...じゃあ...行きます」
と言うことで私服に着替えて近鉄に乗るアタシと重義。
アタシ「どうだ?女と2人でお出かけって」
重義「な、何か緊張しますね...」
アタシ「おいおい鼻の下伸びてるぞ〜?」
重義「えぇっ!?あ、え、あ、いや...えぇっ!?」
色々揶揄ってると津に着いて降りるアタシ達。そしてイオンに入ってファミレスに行く。
アタシ「ふぅ、久しぶりのファミレスだな」
重義「僕も懐かしいです」
アタシ「さ、何でもいいから好きなの選べ」
重義「えっ...あ、ありがとうございます」
そして色々話しながらご飯食べたりゲーセン行ったり服見たりしてると夜の7時になって結局晩御飯も一緒に食べた。
アタシ「楽しかったな」
重義「ですね」
駅から家に向かって歩くアタシと重義。そして家の前に着いた。すると重義が何かを取り出した。
アタシ「え、お前スマホ持ってんのか!?」
重義「はい。一応持ってます」
そして何かを開いてアタシに見せる。それはLINEのQRコードだった。
重義「よ、良かったら...」
アタシ「はーいよ」
LINEを交換してこの日は別れた。
次の日。テストが終わっているため終業式まで学校が休みなのでいつメンと遼の家に遊びに行った。
遼達「...?」
アタシ「ど、どうした?」
遼達がすんごい不思議そうにアタシの方を見る。
遼「なんか変だな...?」
神姬「いやぁ...何かいい事でもあったのかなって...」
澪「めっちゃ顔嬉しそうやで?」
愛「そんなにいい事があったの?」
善子「怪しいですね...」
遼達「むむむ...」
アタシ「そ、そんな目で見ないでくれるかな...」
まぁ、顔に出るのも仕方ない。なぜなら暇な時に重義LINEしてるからだ。こんなに中学生とのLINEで楽しみに返事を待つことなんて初めてだな。
そしてそういう日が続いて日曜日。基本重義と遊びに行くのは土日と決めている。この日は名古屋に遊びに行った。帰りの急行電車に乗って伊勢中川に着いたのは21時だった。そしていつも通り家へと歩く。アタシは今物凄く迷っている。一層の事告ろうかと迷っている。確かに出会ったのは数十日前だけど可愛いくて面白いし暇さえあればゲームしたり勉強教えたり土日は遊びに行ったりしてて気が付けば毎日重義の事を考えている。これって...恋だろ?最初は否定してたけどこれは恐らく恋だ...って、えっ!?色々と告白のタイミングを伺っていると家の前の近くまで来ていた。あちゃー...まぁ、よくあるよね...好きな人の横にいると時間が早く感じるってやつ。重義も同じ事考えてないかな...なんてな...。
「...あのっ」
えっ?今重義がアタシに声掛けた?え?重義の顔を見ると凄い真剣な顔をしている。
「...まだ...出会って数十日ですけど...光さんと一緒に居て毎日が楽しいです。その...僕は...僕は光さんの事が好きです。どうか僕と付き合って下さい!!!!お願いしますっ!!」
.........。深く頭を下げる重義。
アタシ「...顔を上げてごらん」
重義「え...?」
アタシがそう言うとゆっくり顔を上げる重義。...恋愛の神様、こんなにも最高な出会いをくれてありがとう。そう思いながら重義に抱き着くアタシ。
アタシ「...アタシも...好きだよ。重義」
重義「...ははっ...良かったです...」
お互い安心したのか笑い合う。良かった、本当に良かった。そして別れ際、アタシは重義とキスをした。
アタシ「じゃ、またな」
重義「はい。お休みなさい」
アタシ「お休み」
そう言ってお互い家に入った。
そして数日経った12月25日、クリスマス。
この日は終業式が終わったら皆と名古屋に集まる事になっている。今日は徹夜で遊び尽くす予定なのだ。時刻は16時。俺と神姬と善子と愛は先に名古屋に着いた。俺達みたいに今から遊びに行くって人も周りにたくさんいる。
神姬「早よ来すぎたな」
俺「ま、電車見ながら待てるからいいじゃないの」
愛「あ、のぞみだ」
善子「あ、来ましたよ...ん?誰ですかあれ?」
俺達「ん?」
横を見ると澪と陽矢と光と...ん?光の横に中学生くらいの子が手を繋いで歩いている。え?弟?
アタシ澪「お待たせ」
遼「お、おう...えっと...この子は...?」
重義「あ、ど、どうも...」
アタシ「あぁ...まだ言ってなかったか...この子はアタシの彼氏の重義って子だ」
遼達「...えぇえええええっ!?いつの間に!?」
ダンゴムシが外来種だったってくらい驚く遼達。
アタシ「この人らはいつメンなんだ」
重義「あ、そ、そうなんですね。よろしくお願いします」
遼達「よろしくね&よろしくです」
という事でお互いクリスマスプレゼントを買ったりして名古屋を歩き回る。そして予約しているレストランに行ってグラスを持つ。
「メリークリスマス!!!!」
皆一斉にクリスマスを祝う。皆今迄にないほど楽しんでいる。陽矢も重義も楽しんでいる。あぁ...最高。最高の聖夜を最高のメンバーで過ごせた事に感謝している。最後に皆と撮った集合写真は輝きに満ちていた。
高校生活 祇園四条 @ASR223
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