テーマ:手紙 「親愛なる妹へ」 ~でんたま~

 急に暑くなってきたが、そちらは変わりないだろうか。

 先日は久しぶりに元気な顔を見られて嬉しかった。


 お前があまりに早く帰ってしまうものだから、あのあと小僧や秘書に散々なじられたぞ。

 今度来た時は、市内見物と夕食くらいは付き合ってもらいたいものだ。


 十五で家を出た時、もう二度とあの家に戻ることはないと思っていたが、お前が手を尽くして繋ぎとめてくれたおかげで、今もお前の「兄」でいられることに心から感謝している。


 私は皆が望むような後継ぎにはなれなかったが、それも人生だ。

 遠く離れたこの都から、いつも皆の幸せを祈っているよ。


 いずれ、小僧を連れてそちらに顔を出そうと思っている。


 それでは、元気で。

 皆によろしく。

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