4月6日 手紙
「拝啓X様
お元気ですか。今、大学の図書館からこの手紙を書いています。もう四月だと言うのに外では雪が降っていてとても肌寒いので、体調を崩されたりしていないか心配です。
ひとつだけ、貴方と話すときに決めていたことをお伝えしたいと思います。それは信じることです。他の人と話すときは、言葉の裏を探ったり相手の顔色を窺ったり、そういうことが絶えません。基本的には嫌われると思って、無用な会話も極力しません。ですが、それは自分を信用しないのと同時に、相手も信用していないことだと気付きました。貴方となら違う世界が見えるのかもしれないと思い、自分は貴方と話すときだけ、自分を信じないことをやめ、貴方の言葉を信じることにしました。
そのせいで、随分な身勝手をはたらいてしまったと思います。きっと、思い起こしてもたりない程、嫌な思いをさせてしまったことでしょう。
貴方の前の自分は恰好つけてばっかりで、僕らしくはなかったかもしれません。でも、そうして自分を信じ貴方を信じることを、この臆病な自分ができたのは、貴方のお陰です。あなただから、できたことだと思います。
僕を救ってくれた貴方はこれからもたくさんの人を救うでしょう。それが、なんと素晴らしいことかと思います。貴方の進む道に、多くの幸せと祝福が訪れることを、願わずには居られないのです。多くの思慕と憧憬をもって。」
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