仙道アキヨシと高階アイの中間考査

仙道:高階君、ちょっとこの辺で整理したいと思うんだが、どうかな。

高階:そうですね。私もそう思います。このお話、たくさんのパラレルワールドとたくさんのアナザーが出てくるから、読んでる人は大変ですよ。

仙道:その分、チャレンジ精神をくすぐるっていうか……

高階:そんなこと無いです。整理しましょう。

仙道:じゃあ、まず自己紹介しようか。俺たち、このストーリーにはまだ出てきてないからな。

高階:はい。では仙道さんからどうぞ。

仙道:了解。私は仙道せんどうアキヨシ。PTAパラレルトラベルエージェンシーの技術開発責任者だ。元時空間研究所じくうかんけんきゅうじょの開発部長。パラレルワールド研究の第一人者ってところだね。

高階:ちょっと偉そうですよ。私は高階たかしなアイ。PTAの主任技術開発者です。私も元時空間研究所員で、仙道さんについてPTAに入ったんですね。新しいトリップマシンは私の作品です。ちなみに、時空間研究所はパラレルワールドの研究施設で、PTAはパラレルワールド間の旅行事業をやってる会社です。

仙道:オッケー。じゃあ、話を整理して行こうか。


仙道:まず、この話の中心は「パープルワールド」だね。

高階:そうです。ここはオオサカが中心の世界で、豊臣ヒデヨシが天下を取ったまま現代まで続いている世界ですね。

仙道:そう。現在は豊臣ヒデツグが天下人で、ヒデツグには二人の子供がいる。ヒデヤとリホだ。ヒデツグはヒデヤに跡を継がせたかったが、ヒデヤは学者の道にどっぷりで政治の世界で評判が悪く、リホに継がせようと考えている。

高階:でも、リホも家を継ぎたくないんですよね。家を継ぐということは、この世界の長になるってことですからね。そりゃ重いですよ。元々ヒデツグは、リホに政治の世界に入って欲しくなくて、友人の結城ダイスケにリホを預けていたんですよね。それなのに急に家を継げと言われて困ってしまったわけですね。

仙道:リホはそれを思い悩み、居酒屋でひとり飲んでいると、PTAのジョーに出会ったんだな。

高階:ジョーはリホが家を継ぎたくないという話を聞いて、リホをチェンジさせちゃうんですよね。それってPTAの規約違反ですよね。

仙道:そうなんだ。ちなみにチェンジってのは、パラレルワールド間のアナザーと心が入れ替わることだね。アナザーってのは、パラレルワールドにいる別の自分のことだ。前作ではトリッパーのショウとリキがチェンジの能力でいろいろ失敗していて、チェンジを使うのは危険だって思ってるんだよね。

高階:リホはレッドワールドのアナザーと入れ替わっちゃったんですよね。パープルワールドのシンジュクカブキ町の居酒屋で飲んでたのに、いつの間にかレッドワールドの西新橋のバー・アンカーに変わっちゃってびっくりです。

仙道:ジョーは、しばらくここで暮らしてみろって言うんだよな。結構適当っていうか、無茶なこと言うよね。

高階:でもリホは翌日会社に行って、楽しく過ごすんですよね。


仙道:ここからは「レッドワールド」の話になる。リホはパープルワールドでは「コズミックファースト社」で広報をしていたんだが、レッドワールドでは受付嬢だったんだね。パープルでは受付のメグミにあこがれていたんだけど、レッドに来たら一緒に仕事できて有頂天なんだな。そこでショウとタクトにも出会って新しい会社生活が始まるんだな。

高階:ここで気をつけて欲しいのは、レッドワールドに出てくるショウは、トリッパーのショウのアナザーなんですよね。能力無いんです。ノーマルなんです。ショウってアナザーがたくさん出てくるんですよ。トリッパーのショウはシルバーワールド出身で、PTAの社長のショウはゴールドワールド出身、でもノーマル。そしてレッドワールドのショウは前の二人とは全く関係ないノーマルです。

仙道:ややこしい……

高階:でもここからがもっとややこしいです。メグミ、ショウ、タクトと待ち合わせにバー・アンカーに行ったリホは、バー・アンカーの奥の「Staff Only」の部屋に隠してあったトリップマシンを操作して、シルバーワールドにトリップしちゃうんですよ。

仙道:実は、バー・アンカーはPTAの出先になっていて、トリップマシンが翔んでいく拠点になっているんだよね。そもそもPTAのオーナーはバー・アンカーのマスターのシゲさんだからな。


高階:ここから「シルバーワールド」ですね。シルバーワールドのバー・アンカーにはショウとメグミとタクトがいるんですね。もちろんレッドワールドにいたのとは別人です。アナザーです。三人はコズミックファースト社の同期会をしている感じですかね。シルバーのショウはトリッパーで、会社辞めてPTAに移ってますからね。久々の再会なのか、時々会ってるのか、そんな感じですよ。

仙道:それで、会話の中からトリッパーのショウは、リホがジョーとのツアー中に何かトラブルが起きたんじゃないかと察して、メグミとタクトを帰すんだね。

高階:そしてジョーを呼び出して事情聴取ってわけです。そこでリホがチェンジされてた(入れ替わってた)ってことが発覚するんですね。そして、ジョーが入れ替わったもう一人のリホの様子をもう一人のジョーに通信すると……「リホ、君は何者なんだ」で続くという。う~~、気になりますよね。

仙道:実はこのとき、パープルワールドでは誘拐事件が起きていたんだね。


高階:じゃあ、その誘拐事件を整理しましょう。リホがさらわれたんですよね。

仙道:そう。「ホワイトワールド」に本拠地を持つPTAは、そのとき事業の一周年記念で団体ツアーを立ち上げたんだ。その行き先が「パープルワールド」だった。ツアーが無事終わって帰ろうとすると、首都オオサカ警察の桐生警部補と轟刑事がバスに乗り込んでくる。彼らはPTAを怪しいと思ってるんだよね。でも、リキもショウも訳が分からなくて困ってしまったと。

高階:そもそも、この誘拐事件は人違いなんですよね。

仙道:そうだな。でも誘拐する側からするとアナザーだったなんて分からんよね。誘拐はパープルワールドで発生したんだが、そのときはレッドワールドのリホがパープルワールドにチェンジしちゃってたんだよ。間違ってさらわれちゃかなわんよね。

高階:さらったシンジケート・オーってのが、またいろいろ気になりますよね。

仙道:なるね。プロフェッサー・オーの口ぶりが聞き覚えがあって嫌な感じがするよね。

高階:フジコもですよ。プロフェッサー・オーは「ユリ」って言ってるじゃないですか。その前にイエローワールドの長峰ユリさんが行方不明になってるって話でしょ?しかも長峰さんは「ネオの事件」でトリッパーに覚醒してるっていうじゃないですか。フジコも身代金のジュラルミンケースを触っただけで消しちゃうし。トリップマシン出てくるし、フジコはトリップして消えちゃうし。いやー、気になる気になる。

仙道:気になるよ。特に「ネオの事件」って何? まだ出てきてないよね。

高階:あの事件、大変だったんですよ。私、当事者ですから。


仙道:高階君、教えて。

高階:それはこの後のお楽しみ!

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