第13話 ヒカルは魔物!?。
「えー」の三重奏に私も加わりたかったけど声も出なかった。
「参りましょ、時間が有りません」
「て、手伝わなくて良いの?」
「今のところは、疲れたら変わって下さい」
(無理です無理です)
「えっと何処へ行くの」
「保健室へ」
「そ、そうね、保健室よね」
「それじゃあ保健室に運びますので」
ヒカルは階段でさえスタスタと一人で歩く様に降りていく。
(そっかこれが充電効果、すごすぎ)
別れたつもりだったけど結局彼女たちも運べるか気になったのか付いて来た。
「しっかし凄い、軽々担いでる」
「しかもちっちゃいのに」
「ねえもしかして二人で争奪戦!」
「興味御座いません」
「わあ古風素敵!」
一階まで降りてさすがに疲れたのか「ふー」と息を吐くヒカル。
「代わろうか?」
「代われるものなら」
四人がかりで与一を肩から降ろそうとしたが動かせなかった。
「すごい四人で動かせないのにここまで運んできちゃった」
「しかもとびきりよ」
「何が」
「言いたくない」(可愛いなんて)
「確かにね」
あと少しの距離を四人がかりで支えてヒカルに運んでもらいやっとベッドにごろりと降ろした。
さすがにフラフラのヒカル。
今度は私がヒカルを楽々とお姫様抱っこ。
「後お願いします」
「わっ」
「おっ」
「カッコいい」
あっけに取られた先輩たちを残してヒカルを抱きかかえ自分の教室に戻って来た。
ヒカルを抱いたままなので椅子に座れず机に少しお尻を掛ける。
するとヒカルは目を開きニコリと微笑む、そしてするりと腕を抜けスタスタ自席へ戻って行った。
(やられたタヌキ寝入り)
でも四階から一階まで大人に近い体形の人を肩に担いで降ろすなんて大人の人でもよほどのマッチョさんでないと出来ないだろう、ヒカルの言った「お日様パワー」なのかな。
(あっ与一が伸びたのって私のビリビリのせいかも、そうだまだ体の中に残っている)
机にくたっとうつ伏せになっているヒカルの背中に手を当てる。
(呪文は元気をあげる、で良いのかなとりあえず願う)
ヒカルが顔を上げやはり疲れた顔で、
「蒼井さんありがとう、元気貰った」
みるみる顔から疲れた様子が消えていった。
席に戻るといつの間にか始業ベルが鳴っていて先生がやって来た。
授業そっちのけでぼんやり考える。
軽々と人を担いで太陽で<充電>していたヒカル。
(魔物が目を覚ます)紫の言葉が蘇った。
魔物じゃないけど人間離れしている、その子から私は<元気の何か>をもらった、伝わって来たのはまるで高圧電流、そして私はそれを吸収し吸収し切れていない電気で与一君を感電させた?のかな、それとも私の魅力で、、、あり得ん、霊力ならまだしも。
私とんでもない子を引き当てたのかも))
そして明朝。
「スクープ!屋上でラブラブ密会!」
壁新聞て言うのデカデカと廊下に張り出されていた。
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