第7話 私の日輪さん。(あぶない)
作者より「すいませーんここだけはほっこりに出来ませんでしたー、ペコペコ。」
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入学式が終わってホームルーム、自己紹介をぼんやりとして聞いてもいなかった。
人の子には興味の無い私。
私の順番はあいうえお順なので一番初めに終わっている。
「蒼井 伊佐宵、幽霊として扱って、見たら祟るから」
それでも先生は食い下がる。
「蒼井さん得意な科目と趣味を教えて」
「得意な科目は無し、天体観測が趣味以上」
若い新米教師みたいな化粧の濃い先生はやっと
なんだかやけに静かなので振り返ってみた。(あいうえお順だから右端最前列)
真ん中あたりの席で背の低い座敷童よりずっとずっとひたすら暗そうな子が席を立って俯いていた。
口がわずかに動いているから何か言ってるみたいだけど全く聞こえない、耳の良い私でも「ふー」と「・・・す」だけ聞こえた。
(うわー、私より何倍も暗い、髪の毛で顔を隠してるから座敷童みたいだけど、童たちの方がよほど明るい、いじめられなきゃ良いけど私には関係無いし)
この子は先生さえ諦めた様だ、何も言わず次の子を指名している。
ホームルームみたいな時間が終わって次の時間は学校探検?らしい小学校じゃあるまいし。
おそらく出身小学単位で集まって話をしている様だ。
「ラッキー、ミチとユミと一緒になれた!」
「それは良いけど、、、わたし祟られてる六年間同じクラスよあの妖怪娘と」
「みんな一緒、うちら一クラス何時でも一緒」
「だからやっと顔を見ずに済むと思ったら、また化けて出てきやがった、何とかしてよ」
「別にいんじゃない座敷童を見たらラッキーって言うじゃない」
「座敷童にも種類が有るの、あれは疫病神、このクラス全員不幸の道ずれよ」
早くも仲間外れを助長している。
私はこういうの大嫌い、それに座敷童はお友達、悪く言われて黙ってられない。
「止めなさい、座敷童の代わりに私が
「へーやって見れば、見かけはボロボロでも幸運の女神も居るらしいから」
「残念だけど私は幽霊、
その子は何か言いたそうだったけど周りの子に止められた。
別の子が、
「寮に入って直ぐにトラブル起こしたってあなたでしょ、今度なにかあったら島流し決定、先生に目もつけられているし、マキこいつこそ疫病神近付かない方がいいって、私達に近付かないでお願いねー」
ああこれで私達二人は圏外(交流しない)決定ね、ほっといてくれれば良いけど。
私何故か知らないけど教室に早く行く癖が治らない、小学校時代も寮生で三人部屋が息苦しかったのかな、喧嘩するほどの交流も無かったのに。
それで次の日も早く来てしまった私、それより早く来ていた妖怪娘、じゃない名前知らない座敷童さん。
とりあえずこれだけは言っておこう。
「ねえ、もう少し大きな声を出しなさいよ、声の小さな子はいじめられやすいのよ」
俯いて黙って聞いていたが、私が言い終わると上目使いでギロッと睨まれた、髪にほとんど隠れた目で。
触らぬ妖しに祟りなし、退散退散。
それでも懲りない奴らがやって来た。
「げー最悪お化け二匹、悪霊退散悪霊退散」
「安倍晴明の子孫でも居ないの、お祓いしなきゃ祟られそう」
私たちはどちらも無視。
がそれも出来ない事が始まった。
「日輪の怨霊様どうか平和な一日を過ごさせて下さいませ」
そう言って仏さまに供える様な小さな食器を日輪さん(いま覚えた)の机に置き手を合わせている、周りの女子数人も一緒になって手を合わせる。
私はずかずかと近付いて一番初めに手を合わせた子の後ろ髪を思い切り引っ張ってやった。
「バッターン」
後ろに派手に倒れる。
他の子はサッと自分の席に戻っている、薄情な奴ら。
起き上がり「何するの乱暴者」
「それはこっちのセリフ、おとなしい子に怨霊様って何よ、黄泉に送ってあげるわ」
「やれるものならやって見なさいよ、このインチキ霊媒師」
10センチ以上背の高い私が上からギロッと睨むとコロッと態度を変えた。
「やーめた、地獄の閻魔様には敵わない、わたしが悪うございました、ニチリンもゴメン」
それでも安心できない、この手の奴らは弱い奴には容赦しない。
(あの子を鍛えないと収まりそうにないな)
一日中不機嫌光線を放ってたせいか私のいる間は何も起こらなかった、トイレとか大丈夫だったんだろうか。
半日授業で皆はとっとと帰って行く。
日輪さんは席に着いて俯いたまま、全員居なくなるまで待つつもりなのかな。
私達二人になったところでまたおせっかい。(私こんな性格だった?)
「ねえ帰らないの」
下を向いたまま何か言ってるみたいだけど、全く聞こえない。
「昨日も言ったけど聞こえる様に話さないと何言ってるか分からない」
ちょっとイライラしてる私。
また下から睨まれた。
(ああもう我慢できない)
前髪を掴んで上にあげ、
「言いたいことが有るなら聞こえる様に言いなさい!」
真っ赤な顔でプッと膨れる、私が髪を掴んでいるので下を向けない。
(なんだ可愛い顔じゃない、あっ又キュンしちゃった)
私は手を離し席に戻り筆箱の中から黄色の大きなクリップを持って日輪さんの前に立つ。
手荒く前髪を掴んでクリップで上げた前髪を止めた。
「可愛い、決めたお前はオレの彼女だ、何でも言う事を聞きなさい」
なんか我慢できなかった、両手で日輪さんの頭を掴んでほっぺにチュ。
(な、何してんの私、まだ妖しドリンクが残ってる?)
当然日輪さんも石像状態。
(やっちゃお、ふふふふ)
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