第3話 妖しとの出会い
でもよく見るとなんだかとても小さい、幼稚園くらい?、黒っぽい服を着ていて髪が短いのできっと男の子。
ツンツンと肩を突いてみると顔がこちらを向いてニッコリ笑顔、(か、可愛いい)
いきなり抱き付かれ変態まがいの事をされたが、五、六歳くらいかなの子供だから変な下心は無いだろう。
(でもチンコやお尻やウンチが好きなんだよねーこの年頃、なんとかシンちゃん参照)
でも黒い塊から人の姿に変わるなんて人ではない、妖しさんだ。小学校の時
「ねえちょっと離して、椅子の上だから危ないから」
足から腕を離し、離した手を直ぐに私のジャージの胴の辺りを掴む。
イスから降りて手を取って奥へ引っ張って来てベッドに腰を下ろす、その子は突っ立ったままなので「すわりなよ」と言ってみるが顔でいやいや、私の方をじっと見ているので太腿を叩いて「どうぞ」と言うとすぐに膝の上に横を向いて座り、ちょっと恥ずかしそうにしてから体をこっちに捻り顔を胸に当たりそうな辺りまで近付けた。
私は彼の腕の上から抱きしめてあげる、わたしもここしばらく冷え冷えする環境に置かれていたから、安心できる(していいのか?)誰かが近くに居るのが嬉しかった。
「ねえ名前教えて」
「ぬえ」
私の体に顔をピッタリくっ付けたまま答えてくれる。
(あれこれって母性本能ってヤツ?可愛い可愛ゆい、離したくない)
「えーぬえ、ぬえって大妖怪じゃない」
「しらない」
(鵺だっていろんな鵺が居るんだろう)
「あっごめん、私は
十六夜は私の対妖怪ネーム?
「うん、小学校のはじめに聞いた」
「そうか
「うーん家来」
「あそうか家来なんだ、それでねぬえって名前じゃないでしょ、ぬえ君て呼んだら大勢はいはいって返事されちゃうよ」
「ぬえは滅多にいない、ここではぼく一人」
ポケットの辺りをごそごそしている。
「そうなの、でも私なら人って呼ばれるより十六夜って呼んでほしい、だから名前を教えて」
「だめ、ぼくの名前を呼んだら十六夜は僕の家来になってしまうから、名前は
「あっそうか、その辺が大妖怪なんだ、全ての鵺が大妖怪って訳じゃないけど、力は強そうね、じゃあそうね、
鵺はすこし考え、
「うんいいけど、名前を知ってる訳じゃないよね」
「ん?知らないけど近かったの」
「言わない、でも家来にしてお姉ちゃんになれって、、、やっぱりいい」
「大丈夫、お姉ちゃんだよ、私もこんな弟が欲しかったの」
「。。。。」
だまって悲しそう顔をする。
「どうしたの、お姉ちゃんじゃ嫌なの」
それには答えず
「プレゼント持って来た」
「プレゼント?なに」
ポケットから500cc位のペットボトルを取り出す(何処に入ってた?)
「これ、一緒に飲みたい」
「えっお茶?」(妖しさんの飲み物って怪しいんだけど)
「マタタビのお茶」
「あっマタタビ茶なら飲んだことある、ちょっと待ってね」
「コップ要らない、このままでいい」
蓋を開け私に渡す。
「あ、ありがとう、どんな味かな」
(妖しさんと間接でも口にするのはヤバい、いわば野生動物、どんな菌を持っているか分からない。まあ普通の人に比べると私も野生に近い方だけど)
鼻に近付け匂ってみる。
「あのさ、悪いけど紫が飲んだ後はわたし飲めないよ、ごめんね」
「うん知ってる、恥ずかしがり屋さんだね」
(いやそうじゃなくって、あなた達は野生動物みたいなものだから、とは言えず)
「じゃあ頂きます、ちょっと味見」
ほんの少しだけ口に入れてみる、
「これなら飲めそう、スーとするね」
「飲むと元気になるんだよ、たくさん飲んで、でも残しておいてね」
なんだか可愛いい、ごくっと一口飲んだ。
胃に入った途端液体が流れた辺りがカーと熱くなる。
「うっ、あ熱い、アルコール?」
「ううん、アルコールは入ってないよ、健康ドリンク」
(妖しさんの健康ドリンクって。。。)
そう言って私の手からペットボトルを奪い一口飲んだ、その顔はニコニコでは無くてニンマリと悪意を隠した顔に見えた。
膝に乗せた紫が急に重く感じる、もたれ掛られていたのが押し倒されるように後ろに倒れた。
(なんだかこの子大きくなってない)
ベッドに寝転がった私の上に私と同じくらい(170センチ有るかも)の体格の男の子の顔がすぐ近くにある。(ヤバッ)
紫に
「ちょ、、、」(とそれは)と言おうとしたら右手で口を塞がれてしまった。
「ウッ」
(マジやばい)
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