第2話 これが噂の変質者?。

 学校が始まるのは明後日だから入寮者はまだ数人、その内の二人は私と同室の人でお昼に騒ぎを起こし私の荷物を窓から放り投げ、寮長さんの部屋で保護=監視状態になっている。


 事の起こりはこう、私が前日入寮してすることもなく四つあるベッドの一つで荷物を枕に眠っていたら、後から来た二人が勝手に場所を占領したと騒ぎ出した。


 揚句あげくちりひとつ落ちて無い様に掃除しろとか、お菓子を買ってこいとか好き放題言い出したので「自分でやれば」と言って部屋を出たら私の荷物を二階の窓から放り投げた。


「アメリカの国家機密に関わるデータが入った、アメリカ軍監視付のパソコン」(私談、100倍話を盛って)が入っていたから余計騒ぎが大きくなった。


 まだ休暇中の校長先生まで駆けつけてきて大騒ぎに。

(騒ぎが収まってから校長先生にハワイの天文台から借りているパソコンで、月に二度チャットミーティングに参加しています、などの話をしたら天文好きの校長先生と仲良くなってしまった)


 それで窓から放り投げられたリュックに入っていたバカでかくて厚みも有るノートパソコンの電源を入れる。


 いきなり「Warning Abnormal ...... 」(警告 異常事態を検出、、、)が表示された。

 これには私も感心した、パソコンの盗難追跡機能が作動した様だ。


 英文ばかりのメールも見せてかなり信用されたみたい。

「これは大変だ」となった顛末。


 設定以上の速さで移動したため作動したようですぐに「Was there anything」(何か有ったのか)ってメールが来て「引っ越の時にカバンごと落としてしまった」と送り返し事なきを得た。



 そして夕方、新着メールを開くと「Good luck new school!....」(進学おめでとう、そこでお祝いチャットをすることになったよ、こちらの時間で4月5日18時。。。)


(はあ、明日のえーと午後一時、もうそんな急に、、、まあ当分この部屋は私一人になったし英語で会話しても差し支えは無い)


 メールを読んでいると何処からか「カリカリ」と音がした、部屋の上の方。

 この音はきっと。


「ネ、ズ、ミー!」と叫んで気絶した、りはしなかった私はネズミが大好き。


 黒くて黄色い靴を履いて夢の国に居る奴じゃないリアル家ネズミ、いや学校ネズミか。


 パソコンを横に置いて立ち上がり、音が聞こえた入口にある備え付けの洋服ダンスの扉を開き、上の方を見ると50センチ幅くらいで並んでいる板の二番目の継ぎ目の所がカタカタと上下して隙間が開いた時にちらっと赤い目が見えた。


「ね、ず、みー」いやこれはもういい、あの眼はきっとハツカネズミ、真っ白で可愛い顔をしている一番好きなネズミ。


窓際に置いてある踏み台に出来る正方形に近いイス(スツールとか)を持ってきて下に置き、踏み台にして洋服ダンスに上半身を入れて天井の板を一枚だけ少し持ち上げてみる、片側だけ持ち上げ横にずらす、10センチほどずらした時いきなり黒い塊が飛び出してきて目の前を落下し、タンスから飛び出した。


 と思ったら床に届いた辺りでスッと立った人型になり、タンスをのぞき込んでいる私の両太腿にいきなり腕を回され強い力で拘束され動けなくなった。


(不審者!ジャージ上下着用、スカートでなくて良かった、いや良くないか)


 驚いて両手で天井板を持ち上げたままの私に、そいつは顔を私のお横腹に押し付た。

(げっ変質者!)

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