辻橋女子高等学校⑯ ― 視覚がない状態で思いがけないムニュっとした感触を得たときの幸福感といったらね。
…………痛い。
……というか異物感?がすごい。すごいんだが異物感。世の中の視力弱い勢は毎朝こんな思いしているのか。
「ほら、足上げて」
足? はい。
いやしかし……ほんと目を開けらんねぇよ。
染みる感じすらしてきた。
「こっちも」
え? こっちってどっち? 反対か。はい。
俺が経験のない刺激に耐えている中、沙紀はなにかしているな。
まぁもう何でもいいわ。どうにでもしてくれ。
クマウサパンツが隠蔽できるならなんでもやるわ。お姉様でもお嬢様でもお姫様でもなんでも呼んでやるわ。
「万歳しなさい」
「何に対して?」
「もちろん私に対してだ」
…………はい。
俺が両手を上にあげると同時に俺を纏っていた布切れは天へと召し上げられた。そして間髪入れずに肌についた感触は、これまで感じたことがないものだった。
「……もう手は下ろしていいぞ」
はい…………ん?
手を下ろしました。その時指先に落ちた感触は、人間のもつ柔軟性の高い表皮そのものだった。そして同時に俺の指に触れられた感触を得たのは、俺の太腿だった。
―――うん。なんか脚がスースーするね。
おかしいよね。何がおかしいってさ、スースーすること自体ではないんだよ。それは短パンでもスースー感はあるからね。俺に違和感を持たせた感覚は、俺の両太腿の内側の肌同士が触れたことにある。
―――おや?
おやおやおや?
脳に別の違和感を唱える信号が届いた。
―――胸元がスースーする。
グラマーな女性で言うところの谷間にあたる部分がスースーする。
どうなってんだ?と思って触ってみた。
……谷はないはずだった。さっきまではなかった。いや、今も実質ないはずだ。しかし、そこには小川も何もないフラットな大地に隕石が二つ降ってきたことにより谷にならざるを得なくなった谷間がそこにあった。
………………なんかおっぱいあるんだけど!俺の胸にぃ!!
ムニュムニュしてるぞ?ちゃんとムニュムニュしてるのあるんですけど!!!
しかも無駄にでかい!!!
人の目が開けないことをいいことに着せ替え人形の如く遊ばれてんぞこれ。
あっ!
今、背中でパチッていった。肌になんか勢いよく当たった!
間違いない。今のはブラジャーの止め具だ。
どうして俺が姉にブラジャーを付けられる展開になるんだ。
しかしこのおっぱい……大胸筋にあたるこのムニュムニュ。
これは一体―――。
「触るな。この変態」
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