第20話

 ベッドで寝ていた男は近所のスピーカーから響く待機命令で目が覚めた。

 「ちっ。何時だと思っているんだよ。うるせえな」

 男は眠りを妨げられて不機嫌に呟いた。

 男は明かりをつけてトイレに行って、寝室に戻って来た。

 外でピキッと何かがぶつかる音がした。

 「ん?」

 男はカーテンを開けた。外には何もいなかった。

  男は不審に思いながらカーテンを閉めた時、

 ピキッピキッ…

 また何かぶつかる音がした。

 「何だよ、一体…」

 男がカーテンを開けるとカマキリが二匹、窓の外にいた。

 「うわっ。何だ!」

 それは人間の子供位の大きさをしたカマキリだった。

 カマキリは腕を振り下ろした。窓ガラスが割れた。

 「うわああ」

 男は寝室から出てドアを閉めた。

 足元から鎌が突き出た。

 「だ、誰か!」

 男は叫びながらを家を出た。

 「何だ。これは…」

 スピーカーが備え付けられた電柱の周りに幼生のカマキリが集まっていた。

 男に気づいたカマキリが飛びかかって来た。

 男は逃げた。長い鎌が男の背中から胸を貫いた。

 男の体がビクンビクンと震えて力尽きた。カマキリの群れが肉塊と化した男に覆いかぶさった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る