第11話
一階に降りると丁度、警官達が走って来た。
「今どこにいる?」
警官の一人が訪ねると、
「三階の二組の教室です」
香奈が息を荒くしながら答えた。
警官達は階段を駆け上がった。
望海達は息を荒げながら座り込んだ。
「大丈夫か!」
担任の杉坂が駆け付けた。
女子生徒の一人が泣き出すと他の生徒達も泣いた。
望海はまだ呆然としていた。
上からパンパンと音が聞こえた。
「あの音って何?」
「多分銃声だな」
生徒達が小声で話した。
上から窓ガラスが割れる音がすると、破片と共に白いカマキリが落ちてきた。
「きゃああああ!」
女子生徒達が悲鳴を上げた。
カマキリは羽根を広げて地面に落下する前に浮いて校舎を横切るように飛んで行った。
望海は焦点の合わない目で窓の外を見た。
「これで逃げたのかしら…」
香奈が呟いた。
上から警官達が降りてきた。
「一体何が起きたのですか?」
杉坂は警官達に訊いた。警官の一人が立ち止まって、
「校長先生の指示があるまで待って下さい」
と答えると軽く会釈して学校を出て行った。
女子生徒達のすすり泣く声が大きくなった。
「何かわからないけど大丈夫みたいね。望海?」
香奈が望海に話しかけた。望海は呆然としたままだった。
「望海、大丈夫?」
望海は返事がなく黙って窓の外を見ていた。
「先生!望海が…」
香奈の声に杉坂が駆け寄った。
「おい、しっかりしろ」
杉坂は望海の肩をゆすったが望海の瞳は止まったままだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます