第9話
青いシートから大野が出て携帯電話で話していた。
「こっちは遺留品以外は見つからなかった。そちらへ合流する」
携帯電話を切ると大野はあぜ道を歩いて車道に向かった。
「全く何でこんなに続くんだよ」
大野がぶつぶつ言っているとまた携帯電話が鳴った。
「はい、もしもし」
大野は気だるく話したが、
「えっ何だって?よくわからないんだが」
表情が険しくなって立ち止まった。
「わかった。すぐ行く」
大野は電話を切ると急いで車道のパトカーに乗り込んだ。
車内の無線が激しく交信していた。
『化け物が暴れている。至急機動隊を…』
大野はサイレンを鳴らしながら車を出した。
繁華街の方向からパンパンと音か聞こえた。
「何かしら。爆竹?」
校舎の窓から外を眺めていた望海は思わず呟いた。
「おい高橋。どこを見ているんだ」
教師の声が聞こえて、
「あっすみません。何か外が騒がしくて…」
「そんな事はいいから授業に集中しろ」
教師の厳しい口調に望海は「すみません…」とうつむいた。
またパンパンと音がした。そしてサイレンの音も聞こえてきた。
「本当、何かしら」
香奈も呟いた。教室がざわついた。
女子生徒の一人が「先生、何かあったんですか」と訊くと、
「ちょっと待ってろ」
と教師は教室を出て行った。
「あの音、銃声じゃないか」
男子生徒が言うと更にざわついた。
校内放送を告げるチャイムが鳴った。
「授業中失礼します。外で活動している先生方や生徒の皆さんは至急、校舎に入って下さい。繰り返します…」
張りつめた女の声が学校中に響いた。
「どういう事?」
「何があったんだ」
生徒達は窓側に集まって外を見た。
運動場から生徒や教師達が走って校舎に戻っていた。
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