白い髪の少女

「うおすっげえ、若の妹みたいなコがいる」

「はあ? 若は確か末っ子だろ」

「いやでもほら、あの白い髪のコ」

「……うおっ、なんだあいつ、若の妹かよ?」

「だろ?」


「って、んなわけあるか。若ん家は皆黒髪だろ」


 ノッてくれて素直に嬉しいぜ。


「んで? その白い髪のコってどこだよ?」

「は? あそこにいるだろ、ほら、えーっと、背は低めで、ピンク色のパーカー羽織ってる青いジーンズの。髪型とかは詳しくないけどたぶんショートカットだな」

「……見つかんねえ」

「……え、おいマジやめろよそういう冗談」


 俺がお化け苦手なの知ってるだろ。


「いや冗談じゃなく」

「はい帰ろう! 今すぐ帰ろう! よーし、今日は谷の家でゲームだな!」

「あーはいはい。焦って転ぶなよ」

「転ばねえし! どはっ!」


 俺は自分の左足に躓いて転んだ。


「しょうがねえやつだな、ほら」

「いやほんと情けない……」


 ただ、馬鹿にしたような表情で手を差し出されても、感謝の気持ちなんてこれっぽっちもわかないがな、この野郎。

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