買い物
今日は待ちに待った日曜日!
何故待ちに待ったのかって? そりゃ、決まってる。
片想いの女子と一緒に出掛けられるからだよ!
「なっちん今日風邪で休むって」
「あいたたた。急に腹痛が。じゃあ俺帰るから」
「逃がさないぞ♡」
俺の日曜日が死んだ。
「これが良いかなー?」
「いや、わからんて」
「つっかえな」
「おい、こっちは手伝ってやってる身分だぞ」
状況を簡単に説明すると、『菜月の父がもうすぐ誕生日なので、その誕生日プレゼントを俺と谷が一緒に選ぶことになった』のだ。男性の感性がわからないらしいので、俺が谷に助っ人として呼ばれた。
菜月はオレが片想いしている女子で、谷は彼女の親友らしい。親友、とは谷の自己申告だが。
ちなみに谷と俺はただの幼馴染である。
「それなっちんの前で言えんのか?」
「ぐ……」
ちなみにちなみに、どういうわけなのか、俺が菜月に片想いなことは谷にバレていた。そのことを面白半分に言いふらさないのは、幼馴染ゆえの優しさか、弱みを握り続けるためか。
前者だといいなあ。
「ほら、ちゃっちゃか終わらせてさっさと帰ろうぜ」
「俺はお前が羨ましいよ……」
「どした」
どうもしねえよ。
「お、これなんてどうだ?」
俺はふと目に付いたハンカチを手に取って谷に問う。
「つまりゆうちゃんはハンカチ貰って嬉しいんか?」
「なんだよ急に……。時計とか皿とかよりハンカチの方が使い勝手良いだろ」
「利便性って……」
言って、谷は呆れたと言わんばかりに大きく溜め息を吐く。
「……なんだよ」
「だからいつまで経ってもなっちんに仲の良い友達扱いされてるんだよ。気付け」
「今関係ないだろ」
谷はもう一度息を吐く。
「まあ、ゆうちゃんがどうしてもそれが良いって言うんだから、そのクソダサいハンカチで良いか」
「だからなんで不満気なんだよ」
「べっつにー?」
わかんねえ奴だな……。
無地にネクタイ柄のワンポイントなんて、なんかソレっぽいだろ。
今日は女の子の日なのだろうか。
「とりあえず、会計済ませるぞ」
「ついでになっちんのお見舞い行くかー?」
なんてことないことのように谷は提案する。
が。
「お、おおお、お見舞い⁉」
菜月のパジャマ姿だと⁉ か、看病も出来るのか⁉ 普段はクールな菜月の、ちょっと恥ずかし気な姿がみれるのか⁉
「なに、童貞? いや、童貞か」
「違うかもしれないだろ!」
女子がそんな下品な言葉口にするなよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます