第1話 衝突

今から約300年前、地球に、ある小惑星が降ってきた。


直径500メートルほどの大きさで、大気圏に突入してから多少燃焼して小さくはなったが、その威力は凄まじく、太平洋の中心付近に落ちたにもかかわらず、世界中に多大なる影響を及ぼした。



急激な天候の変化に加え、世界各地で頻発する火山の噴火や疫病。大津波。


それによって地球上の生物は徐々に減り、すべては絶滅寸前であった。しかし、核シェルターの使用や、頑強な大規模収容施設の存在。さらには保存食などを大量に備えていた為、一部の人間はなんとか生き残る事ができていた。


程なくして食料も残りわずかになり、人口も数えられるほどとなった頃、人類は悟る。


これが世界の終わりなのか・・・そう皆が予感し、絶望した。


しかし、神は人類を見放さなかった。


荒れ果て、発育環境のほぼなかった土地から植物が芽生え、急激に成長、巨大化したのだ。

大きく伸びた樹木は、高層ビル15階ほどの大きさになり、私たちが雑草と呼んでいるその他諸々の草花も、人の背丈を超えるほど大きく成長し始めた。


驚くべきはその成長速度で、一日に約30センチ程度の成長を続ける上、繁殖も早い。


急激な緑化により気候は安定し、それに伴い噴火や疫病も減少。そしてもう一つ、人類が食糧問題から抜け出す、ある出来事が起こった。


それは、生物の巨大化・急成長である。

大きさに限りはあるが、今までの約2倍ほどに大きさを変え、さらに気性は荒くなった。

人類に対して襲いかかるなどの被害は多く出たが、家畜として飼っていた動物の繁殖力や大きさが変化し、取れる肉の量なども増加した事で、飢餓の心配はなくなったのだ。


しかしそれは、今までも人類を脅かしていた、どう猛な生物の生態系にも影響を及ぼすことに繋がり、地球上でのヒエラルキーは、完全に破綻することとなった。


地上では、樹木の成長により充分な日差しが受けられない事や、どう猛な生物の存在。


これらがあり、進化に対応できなかった人類のみが木上への生活拠点変更を余儀なくされてしまった。


人々はこれを、B.I(ベンヌインパクト)と呼び、人類の節目として位置づけた。


人類にとって安全が確保された世界で、日々生き続ける。


しかし、まだ悪夢が終わることはない。

恐怖の大王は今も、すぐそばで微笑んでいるのだ。

襲いかかる恐怖に人類はただ怯えるしかないのか・・・暗闇に指す一点の光、ある少年の力により、運命は大きく動き始める。

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