Round.04 ユードラ /ExPhese5-6
ツァーリ恒星系第五惑星ゴウラ
「先遣隊の報告は?」
「
クロウドが手元のタブレットに記された報告書のデータを見ながら応えた。
「アーチボルトを退けたのか? セラエノ以外にそんな腕の立つヤツ、フィラディルフィアに居たか?」
「ヒューレイ憑きの六千年級
「アーチボルトはアレで
今ひとつ納得いかないジゼルだったが、後でアーチボルトを直接問い質せば済む話なので、すぐに頭を切り替える。
「ジルヴァラはいいとして、フィラディルフィアは見つからないのか?」
「
クロウドがお手上げのポーズで答えた。
「チャンバラ以外、ほんと役にたたねえな、お前らは」
「まあ、
「あたしのせいかよ」
「船長はチャンバラで有名ッスから」
悪びれもせずクロウドが畳み掛けると、ジゼルは
「結局、クシャナが頼りか」
「……ジルヴァラが惑星レンドラに降りたのなら、フィラディルフィアはそれを回収するために、まだツァーリ恒星系に潜伏している……ハズ」
唐突にボソボソと喋ったのは、ジゼルのソファの脇に特別に設えられた
その同じ鈍色の瞳がジゼルを見つめている。
「……たしか、ジルヴァラはコンテナ艦に格納されていたな」
「どういうことッスか?」
「あの時、フィラディルフィアが逃げるには、アンカーユニットの刺さったコンテナ艦を捨てるしかなかった。セラエノが時間を稼いで、ジルヴァラを単独で
ジゼルはそう言うと、自分を見つめるクシャナに優しい微笑みを返した。
「
「勘じゃねえ、
クヴァル超帝国大学では、彼らがストラコアの
「船長の
クロウドもクシャナに笑みを送ってみるが、こちらはそっぽを向かれた。
内向的でジゼルにしか懐かないが、その
「しかし……ツァーリ恒星系の主惑星レンドラは確か、あのいけ好かない小娘が代官をやってるんだったか」
クシャナに袖にされるクロウドを見て笑いながら、肩にかかる癖のある赤毛を弄り、ジゼルは思案した。
「以前、セラエノ様の亡命を支援したとか言う?」
「シンザの田舎貴族ごときがあたしの邪魔を……」
「お陰で我らが
クロウドの台詞は、尻を蹴られて阻まれる。
「蹴るぞ」
「蹴ってから言わんで下さい」
言葉尻と一緒に尻を蹴飛ばされたクロウドの抗議に憮然とした表情を返すと、ジゼルはそれ以上取り合わず話を進める。
「まあ、散って逃げたフィラディルフィアの連中は目立つ囮だ。ジルヴァラを追えば、フィラディルフィアは探さなくても出てくるか……よし、あたしも出るぞ」
「え、またですか?」
ジゼルの言葉に、クロウドが驚いたような、呆れたような声を上げた。いつもの事と言えば、いつもの事だった。
「アーチボルトを退けたっていう、ジルヴァラのヘルムヘッダーにも興味がある。仕掛ける前に接触してくるよ。有線通信の敷設作業と後、白兵と潜入をやれる奴を見繕ってくれ。後の船の指揮はクロウドとクシャナに任せる」
「了解」
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