Round.04 ユードラ /Phase.3
【交渉下手だね、君】
「僕に丸投げしたアトマに言われたくない」
【ほら。だってあたしストラコアだし、
「もうなんかそれ、体のいい言い訳にしか聞こえないんだけど」
「いざ尋常に――」
わざわざ一声かけてくる向こうも向こうで意味が判らない。が、表情は本気だ。揚句、若干楽しそうな色が見える。
「アトマ、
アーチボルト戦で
【
「
「――参るッ!」
――フィオン――という
宇宙と同じでここは海上、またしても足場になるものが何もない
ヘヴンズハースのゲーム中では、最大速度や加速が
豪快な動きだったアーチボルトの
まさしく音速で移動したエンディヴァーが、慣性を
軽いフェイントからの面打ち。つまり一切の容赦なく、カノエの座る
心臓が握りつぶされるような恐怖。
カノエのその手は、防御操作を半ば無意識に入力し、肩口に移動させた
「ほう……胆が据わっているとは言い難いが、反応はいい。随分と鍛えているな少年。それとも、その見慣れぬ
――ギリギリ――と音を立てて、
レイオンは鍔競った
「では、コレはどうだ?」
「いやほんと、ちょっと待ってくださいって!」
レイオンの眼に殺意のようなものは感じないのだが、纏う雰囲気は完全に肉食獣のそれだった。熊にでも襲われているような気分だ。
次の
先に来る上段はともかくとして、そのあとに続けて襲ってくる斬り上げが非常に厄介な
――だが、あまりに有名な攻撃であるが故に、見慣れたカノエは難なくコレをいなした。
その様はまるで武術の演舞だが、ヘヴンズハースで
とにかく
「……はっはっは! “天地”も
獅子のような顔をほころばせて、レイオンは大変嬉しそうに言うが、カノエの方はそれどころではなかった。
【脈拍高いよ?】
「はあ、はあ、はあ……」
アトマの軽口に返事が出来ないほど、息が荒い。
アーチボルトと戦った時は無我夢中だったが、改めて命のやり取りと言うことを思い知らされる。
そして、カノエに命のやり取りなどと言う覚悟はまだない。目の前にあるのは、死ぬかもしれないという現実と、死にたくないという恐怖だった。
遊びなれたヘヴンズハースの経験が活きていなければ、初太刀で
続く“天地”にしても、今度はフェイントも何もない生撃ちで、ゲームでなら簡単に受け流せる類の攻撃なのだが、命の掛かった状態での実践となると話がまるで違う。
たった二合で、カノエはひどく消耗していた。
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