Round.03 アトマ /Phase.9
アーチボルトが、
実力差があるか、迂闊な相手なら、反撃の暇を与えず完封できる。なるほど、実に海賊らしい攻め手だ。
「逃がさねえッ!」
「どっこい――しょッ!」
カノエは突撃を正面から受けず、ジルヴァラを横滑りさせつつ軸をずらし、相手を叩き落とす様に
鉈槍は薙ぎ払い気味にクロムナインの肩に命中するが、ジルヴァラの船体を横に流したせいで威力が抜け、
「へっぴり腰がッ!」
【浅いよ】
「これで十分――」
続けて、カノエは
先行して攻撃命令を下されたアトマ――ジルヴァラのストラコアは、現在の姿勢から、要求された
渾身の震脚。
エーテルシュラウドが
踏み出した脚部のシ足のような爪先と踵が、エーテルシュラウドに保護されていない表層外壁に食い込み、余剰となった
「――この速さならッ!」
浅いとは言え、突撃中に斬撃を浴びたクロムナインの姿勢は悪い。
その体勢を崩した船体に、放ったカノエ自身も驚く神速の左横薙ぎ、
「なんだとッ! この速さはッ! 間に合わねぇッ!」
閃光の速さで
鉈槍はそのまま、肘部の骨格を切断しながら、クロムナインの
その一撃で、鉈槍を振るったジルヴァラも、それが食い込んで
ゲームのように撃破リザルトも、エフェクトも発生しない。
「やった……のか?」
ヘヴンズハースでは散々、敵
クロムナインは、完全に沈黙したように見える。
切断されたその右腕が、ゆっくりと回転しながら宇宙を舞っていた。
「アーチボルトッ!」
追従してきていたもう一隻の
「もう追いついてきた」
カノエは咄嗟に食い込んだままの
見ると、クロムナインが残る左腕で食い込んだ鉈槍を抑え込んでいた。
「――うそでしょ! まだ“死んで”ない!?」
カノエの言った“死ぬ”は、ゲームで言うところのゲームオーバーのことだ。
プレイが終了した艦が動くのは、ゲームのルールではありえない。それはカノエに取っては異様な光景に見えた。
「ただで逃がすかヨ!」
【ほんと元気だねぇ、このおにーさん】
「なんで撃破したのに動いてんの」
【そりゃヘルムヘッダーの乗ってる
「そ、そういやそうか、そういう設定か……いや、今はそれどころじゃない」
カノエはあっさりと
「あっ……おいッ! コラッ! 待ちやがれテメェッ!」
アーチボルトにはそれ以上取り合わず、今度は
もう一隻の
「ゼルディムッ! ヤツが逃げるッ! 追えッ!」
「いや……あの方向なら予測通り惑星レンドラに降下するつもりだろ。近辺にまだフィラディルフィアの反応もない。
「クソッ! あの女の腐ったみたいなクソガキッ! 次は容赦しねェッ!」
「いや、ガキでも女でも端から容赦しないだろ、お前」
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