Round.02 セラエノ /Phase.8
「ふはははは!」
修羅の嗤い。
「船長!」
シュタルメラーラの斬撃の鋭さは、凄絶な斬り死にをした四番艦が証明している。角度が悪く、大腿部の
刃先の流れている
「や、ら――、せるかぁ!」
セラエノがサブコマンドを入力すると、アストライアが武器を構えていた左腕を放し、続けて、左碗部に薙ぎ払いの
それを受けた
本来は、
「左前腕及び関節構造体の機能十八%まで低下」
「左腕のエーテルシュラウド遮断。破損部切り離して。出力が惜しい」
「左前碗部及び、肘関節部のエーテルシュラウド供給を遮断。パージします」
使い物にならなくなった腕と共に、食い込んだ
シュタルメラーラも斬撃の衝撃で歪み、食い込んで使い物にならなくなった
「“ヘイトレッド”を乗せたから完全に獲ったと思ったんだがな……腕一本で止めるか。そんな
やや落ち着いた口調で、しかし依然、興奮状態を表す赤眼をしながらジゼルは言った。
「剣戟のモーションを徒手空拳で振らせただけだよ。大体、拾った武器に
「この勝負強さよな……やはり是が非でも私のモノにしたい。ナインハーケンズに来い、セラエノ!」
「全力でお断り」
しかし、そのセラエノの飄々とした言葉も、徐々に余裕が失われていた。
セラエノは剣檄戦の興奮で、抑え込んでいたシュタルメラーラを斬り伏せたい衝動に駆られるが、片腕を失ったアストライアでは最早それも厳しい。
奥の手もあるにはあるが、勘のいいジゼルには博打が過ぎる。下手を打って、今倒れるわけには行かない状況だ。
「珍しく身を庇うな……セラエノお前、何企んでる?」
シュタルメラーラが右の
獣並の嗅覚である。
「多分、今アンタが感づいたこと」
「おまえ!」
ジゼルの咆哮と共にシュタルメラーラが踏み込んで、三本目の
その業のキレは、先ほどアストライアの左腕部を半壊させた斬撃と遜色無いが、いささか直線的すぎる。今度はセラエノの誘った一撃だった。
片腕しかないアストライアが、
――その時、待っていた声は届いた。
【セラエノ!】
「アトマ!」
【逃げてセラエノ! あたしはもう大丈夫だから!】
セラエノ達が斬り合うコンテナ艦の下部から、流星が流れた。
「ジルヴァラ、ユーリ副長制御の
「ユーリッ! 後部コンテナ艦を分離! 離脱して!」
「船長! ご無事で!」
「また逃げるのかお前は! クヴァルの
足元の
アンカーユニットに繋がれた後部コンテナ艦を、ロケットがブースターを切り離すように置き去りにすると、
「んふふ。ごめんねジゼル」
セラエノがまた、場にそぐわない調子で、笑いながら謝った。
その時、アトマのジルヴァラが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます