Round.02 セラエノ /Phase.4
遥か遠い昔に、人類を外宇宙へと連れ出した
人類が
そのオリジナルリアクターから最初に構築された第一世代
「“彼”なら、たとえ私が居なくなっても、君を“太陽系”まで連れて行ってくれるかもしれないよ。アトマ」
何故か嬉しそうにアトマの消えた床を見つめていると、
「この程度の窮地で、容易に生存を諦められても困るのですが……」
ユーリが呆れ顔を作って言った。
「相手はクヴァル最強の
「知ってます。伊達に
平然とユーリ。
「まったく、厳しいなぁ――状況」
容赦のないユーリを横目に、目を閉じて、再び開くとセラエノは戦士の表情になっていた。
「敵骨格艦三隻、左舷コンテナ艦に着弾したアンカーユニットAに取り付きます!」
「中央下部コンテナ艦へ向かう四隻の敵戦隊に、旗艦シュタルメラーラを確認」
光学映像処理を施したレーダー映像。七隻の骨格艦が四つと三つに分かれて、フィラディルフィアに取り付く様子が戦術卓に表示される。
大型モニターに映る光学映像を見ると、先頭を飛翔する骨格艦シュタルメラーラの肩の
「
映像に、オペレータの一人が畏怖を込めて叫んだ。
「……ユーリ、後の指揮お願い。ジルヴァラを
「ええ、コンテナ艦ごとアンカーユニットを切り離せれば、問題なく離脱できます……けど、船長はどうなさるんです?」
ユーリが珍しく曇った表情で尋ねる。
「アンカーを振りほどけても、ジゼルの足止めは要るからね。あいつの狙いはアトマだけじゃなくて、私もだから、囮には丁度いい」
「
踵を返したセラエノの言葉に、ユーリはすこし思案して理由に思い当たり、そして少しゲンナリした顔をした。
「――セラエノ船長が出ます。ジュディ、アストライアから戦術管制」
ユーリに呼ばれた管制官が「はい!」と返事をして席を立つと、セラエノに続く。
「ありがと……ごめんねユーリ」
「早く行って下さい。それに、フィラディルフィアを沈めるつもりはありません。こっちは私が何とかします」
ユーリは指揮所を去る船長にいつもの調子で言った。
「うん。後、よろしく」
敬礼だかチョップだか、よくわからない仕草をしたセラエノが指揮所を出て程なく、フィラディルフィアの舷側から、アストライアとエルアドレの編隊四隻が出撃する光点が戦術卓に映る。
「……どうかご無事で」
ユーリ=レドブランシュは人に聞かれぬよう呟くと、それきり、残された職務と後の方針に思考を巡らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます