時鎖の囚人

擦り切れた皮の手錠を

優美な鎖に掛け替えて

浮世に枷を嵌め直す

手首を飾る束縛に

繋ぐ迷いのもの哀しさを

誰か、解ってくれまいか


移ろう空の彩よりも

確かなものを求めては

人は自由を売り渡す

とき、とき、と

世界を覆う不可視の時を

針に挟んで切り刻む

文字盤上の悪魔達

この契約を破却する

退廃めいた福音を

齎す鍵に救いを預け

心を幽す生は牢獄

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る