自鳴琴

大地を回す歯車が

幾万年と奏で続けた

ぜんまい仕掛けの螺旋律

久遠の昔

絡繰師らが螺子を巻き

銀河に流した遊星は

種の興亡を調べに謡う

玲瓏と響く命の共鳴りに

隠れ滅んだ数多の音色

風を震わす喘鳴が

絶えどもそれは人知れず


黄銅の化石を掘って

考古学者は譜を埋める

そらを彷徨う箱舟の

歴史が積もる針の丘

七十億の重奏も

いずれは其処に還るもの

徒針は主旋律へと背を向けて

たったひとりの生を謳った

丘の隅へと身を捧ぐより

深い銀河の水底に

降る金屑の雪となるべく

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