月と鬼事

白夜に涸れた天の河

平野を流れる街灯り

棚引く雲の衣を纏い

月が夜道を駆けてくる

逃げど隠れど何処までも

私を追って駆けてくる


無機の光に褪せた闇

影も落とさぬ月明かり

刻一刻と身を削り

きみは静かに欠けていく

追えど縋れど止め処なく

儚むように欠けていく


月もこもれる晦日つごもり

取り残されて屋根の下

炯々と

見上げる私を覗き込む

鬼の眸が恋しくて

心許なきひと夜の朔に

明るいだけの虚空で眠る

きみを探した隠れ鬼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る