透シ
絵空事
天穹に張る透いた
油絵具を重ねるように
十人が十色を混ぜて
塗り変えていく空想画
草臥れた雲と光は
濁りも深し
幽閉されるこの都市は
まるで乾いた井戸の底
指の隙間を逃れた息が
何よりも綺麗な白に見えるのに
煤けた空の遙かな涯てに
幾億と瞬く星が在るなどと
私には信じもできぬ絵空事
ネオンで染めた夜更けの中に
どんな星座を見ろというのか
幾百と瞬くビルの赤色灯に
どんな星座を見ろというのか
井の中の私は海を知りもせず
然りとて空の蒼さも知らず
散り込む花も
射し込む月も
描きもできぬ絵空事
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