貰い雨

雨の匂いを纏うきみ

私の上に影を落として曇り顔

眸を滲ませ

零すまいと踏み止まるも

やはり、溢れた一滴


頬を伝いきみの綺麗なおとがいへと

引かれた跡を指で追う

所在なく揺れども落ちぬ水滴は

意地っ張りなきみに似て

ひとつ突けばいとも素直に

私の生命線に転がり込んだ


いよいよもって降り出す雨

見上げる私のまなこを打って

きみの落とした悲嘆の色が

冷たく目元を濡らすから

これではまるで

私までもが泣いたよう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る