四季葬送

   花は水葬 青春の月

     儚くも 霞晴れたる 梢より

            彼岸に流す 舟を送らん


   種実は土葬 朱夏の夕立

     雲往きて 露と宿りし 天の子も

            慕ぶ随に 黄泉の比良坂


   草葉は火葬 白秋の鳥

     常世まで 通ふ舞風 供として

            降る灰を愛づ 花よ雨よと


   樹々は風葬 玄冬の霜

     身は朽ちて 御霊も散りぬ 寂し野を

            後生と定む 影の静けさ

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