花栞

行きずりの風を追うては

還るべき土の在り処を見失い

古の母大樹達の遺骨を組んで

厳かに建つ社の内に迷い込む

時も、雨も、光も降らぬ

暗清に古きを留む澱の中から

摘み上げたるひと片のきみ

乾き砕けて塵と果つなら

栞一葉、春形見

憂き世ともつかぬ世を捨て

帰幽せし花の一期を封じたり

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