北国から

厚く雲を重ね着た山の麓

降り落ちる雪を踏み歩く冬の朝

くろい海に立つ白波は無謀にも

節くれた岩壁に打ち寄せては

砕けて波の花を宙に舞い散らす


雪も波も風に運ばれ

空から山へ

沖から岸へ

西から東へ

流れていく


荒れる波飛沫の上で

悠々と鴎が漂っている

小鳥達のように山に籠もるでもなく

群れ遊ぶように波と戯れる様は

強かで自由であるように見えた


吹雪の中を往く鴉を初めて目にした時

何と寂しく凛としたものかと思えども

今となってはそれも羨ましいものに感じる


鴎にも鴉にも言える事には

彼らは寒さを恐れていないらしい

冬に挑むかのように翼を広げ

堂々たる姿を誇る鳥達に

地上で震える私達は

如何映っているだろうか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る