春待ち月夜

春待ち月夜

赤い灯がふわり

眠りを見守っている

春待ち月夜

夜明けは遠く

春もまた遠い


望む夜明けが来たるまで

その眸は何を見る

暗闇に冷たい手を差し出して

明日の欠片をそっと包み込む


春待ち月夜

紅い命がはらり

雪の上に散って逝く

春待ち月夜

流れる温もりが

雪を解かして逝く


目前の春を閉ざすように

寒い夜の帳が下りる

柔らかな陽射しに恋をしながら

小さな柘榴は凍えてしまうのか


春待ち月夜

朱い頬がまた

仄白く染まって逝く

春待ち月夜

春を待つ雪を解かすものが

どうか、熱い泪ではないように

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