秋葉錦

禾の実りを火と喩うなら

ほつり、ほつりと並木に灯す

あかき木の葉は秋の指先


銀杏のいと若々し青袴

その裾を染め替えながら

錦を織りて秋は更け

桜紅葉を侍らす楓

紅、真赭まそほ、山吹

秋葉の都は佳境と乱る

夕焼き煽る絢爛の日々

背負う影もが綾を織り成し

今を限りと燃えていた


樹々が擁きし若人達も

秋手ずからの仕立てを受けて

衣に深みを重ねゆく

黄昏の坂で梢を離れ

逸早く風の供とし落ちたひと片

落ち葉時雨は傾れるように

舞い散る者の後を追う


都を落ちて

少年期より永久の別れを告ぐ様を

千歳緑の伊吹ばかりが見詰めていた

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