流転は風と

黄金に映えたる尖塔の

放した窓より抜け往く風

晩鐘を鳴らすは逸る木枯らしか

塔より剥がれ小径に降りた

蝶の片翼はかさねに累

冬の先駆けに輪郭を授け

秋の骸に折り重なるは

末期まつごを知らしむこれまた骸


豪奢の秋は寂寞の冬へ

久しからずに覇を譲る

華々と花より燃えし紅葉も

漫ろげに舞う今は落葉

ひらり、ひらりと戯れに

振り合う袖が奏でる離別

からり、からりと徒に

風が踵で蹴り上げた

乾いた鈴を転がすような

美しく掠れた葉擦れの輪舞曲


崩落の塔より退く白帝を

冬空よりの客人まれびと達へ明け渡し

生ける骸も眠りと朽ちる

斜陽の下で枯れにし墓碑は

来世に集う標となろう


静けさを率いて来たる幼き冬よ

秋の廃墟がきみの国

築けど崩れ積み上げられる

残骸ばかり礎に

輪廻の辻を光芒は往く

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