太平天国の乱の首謀者である洪秀全。
科挙に落第し、キリスト教の影響を受けた新興宗教を作り、イエス・キリストの弟を名乗った人物です。
前編はその洪秀全の話で、以前に書かれたもの、とのこと。
改めてぶっとんだ人だなーと思うのですが、
私が何より情熱を感じたのは、書き下ろし作品、
「太平天国の外側から見た男 洪仁玕の先見性」という後編です。
作者は他にも「世界史が好き子ちゃん」というバーチャル動画実況小説でも洪仁玕について熱く語っておられ、おそらく、日本でここまで洪仁玕を熱く語れる人はいないのではないかと思います。
洪仁玕は、「太平天国の外側」にいた人ですが、「清国の外側」にいた人でもあります。
19世紀半ばの清をこれほど立体的に描き出す人に、何故世の人はもっと光を当てないのでしょう!?
…と嘆きながら、しかしこの小説に出会えてよかった…!と喜びに震えてもいます。