大輔
四十六 大輔
俺の目の前に具体的に存在すると認められるのは、カビ臭いバスタオルとエロDVDのチラシだった。感じているのは空腹によるむかつきだけだった。外では洗濯機が妙な音をたてて回り続けていた。
床に倒れこみ、仰向けとなった。揺れているのは気のせいではなかった。揺れは確実に大きくなっていった。窓枠がカタカタと細かい音をたて、やがて、ガラスが割れんばかりに震え出した。
ドカン! ドカン! バッチコイや!
俺は目を見開き、天井がこのからだを潰すのを、最後のその瞬間に青空が垣間見えるのをただひたすら待ち焦がれた。
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