⑫気分転換しよ

あぁ好き。すっごく好き。

今すごい、かなり来てる。

好きが副腎皮質の活性化と共に来てる。

時々あるんだ。こういうことが。

好きが止まらなくなって、はぁぁぁぁって、溜息の漏れる時が。

あー、もう、好き。もし今会ったら、肩を擦り寄せて、抱きしめて、そのままキスしてしまうことも十分あり得る。というかしたい。押し倒したい。そうしたら、突然のことに向こうは戸惑うだろうけど、強引に、かつ優しく、触れ合いたい。部活、授業、帰り道、どこであろうとも、誰が見ていようとも、そんなの気にせず二人の世界を作りたい。体温を、拍動を、表情を、反応を、感じてみたい。感じさせてほしい。

会って話がしたいよ。少し話をしたら、流れるように抱きつきたいよ。願望まみれだよ。欲望に忠実過ぎる。でもそのくらい好きが心の中に踊っているんだ。

だって可愛いから。だって格好いいから。だって優しいから。面白いから。頭良いから。趣味が合うから。受け入れてくれるから。波長が合っているから。守ってあげたいから。ずっと一緒にいたから。これからも二人で一緒にいたいから。

二人で積み重ねた時間が、胸に秘めた気持ちを好きにさせてくるんだ。

たった二、三日一緒に帰らなかっただけで、こんなに感情が乱される。自分から、激しさを求める。平日には感じなかったことを、休日になって自覚した。

好き過ぎて、ベッドの上でうねうね悶えてしまうくらい、想っているのだ、って。気持ちの隙間に入ってくれたら、って。

あぁ好き。あぁ好き。もぅ好き。好き好き。

君のことが好き。彼女のことが好き。あの子のことが好き。

好きとは何かなんて哲学は徒労の行いだと切り捨てるほど、今現在の好きに夢中。

君に夢中。

君に夢を見てる。

大谷、君に。

……あぁぁぁぁ、。、大谷、大谷ぃ。大谷ぃ、好き。大谷好きぃ。大谷のことが、大谷の顔が、大谷の立ち姿が、大谷の香りが、大谷の話し方が、あぁもうもうもう、ぜーーーんぶ、好きっ。本当に好き。大好き。大好きだから、愛してる。告白したい。してもいい?引いたりしないよね。告白して「好きです」って伝えて「愛してる」って言って、照れくさく笑う大谷のほっぺにキスしても、いい?いいよね、いいでしょ。もう何でも、何しても、そう、二人で何でもしようよ。二人だけの世界で空間で距離で、めちゃくちゃになっちゃおう?周りとか気にせずさぁ、二人の愛でどろどろにぬちゃぬちゃにめろめろに、沈んでしまおう?ねぇ大谷ぃ。大谷のことがぁ、好きぃ。永遠に大谷の側にいたいよ。二人で笑っていたいよ。時々抱きしめたいよ。

私と大谷で、温め合いたいよ。

会いたいよ。

今、すっごく、好きだから。

こんなに好きなことって、世の中にそうそうないと思うから。

私の特別、友達以上だから。

大谷は。

あぁくそぅ、こんなことなら前もって休日に遊ぶ予定でも入れておくんだった。そうすれば学校のある平日よりもゆっくりと大谷と過ごせたのに。言わばデートになり得たのに。

まぁうん。今日大谷と過ごしていたら確実に一線を超えてたと思うよ。いや本当、そのくらい好きで満たされているから。その好きを大谷に思い切りぶつけていただろうね。あぁ大谷の体温が恋しい。

早く明日にならないかな。早く大谷の顔を見たいな。学校だとあれだけど、学校帰りに二人きりで色々、色っぽいこと、したい。

とてもとっても待ち遠しい。明日大谷に会えると思うだけで、期待に胸が膨らむ。

大谷のことを想像すると、身がよじれる。

好きが身体中に巡ってくるようで、興奮する。

ついつい自分の胸に手を乗せて、ぐねぐねしてしまう。ぐねぐね、ぐるぐる、ぐみょぐみょ。

あんまり大した胸の膨らみは無いけど、そんなこともお構い無しに胸を引き寄せる。

胸に行ってない方の手は、何となく胸とは反対側の脇腹を握っている。脇腹の皮を集めるように手に収めて、胸の振動と交互に揉む。それぞれの腕が交差しているから、傍から見ると自分で自分を抱き抱えているみたいに映るかもしれない。そうやって大谷のいない寂しさと焦がれを紛らわすんだ。

マッサージとえっちな行為の中間のような動作が、私を情欲に駆り立てる。

全ての感情は大谷のために。

「大谷ぃあぁ」

大谷ぃ。大谷ぃ。はぁはぁ、あぁ。


三時間弱、大谷のことを考えながらベッドで自分を慰めていた。

それは必ずしもえっちな内容ではなくて。そりゃえっちでわわわーってなったりもしたけど、全部が全部ってわけでもない。鍵垢で愛を書きこんだりしたし、他にも色々やったりした。けど私が一番したいのは、大谷といちゃいちゃすること。抱きついたり、手を繋いだり、食べさせあいっこしたりしたいんだから。

だからいつかその願いを、叶えられるといいな。

この気持ちを、明日にも持ち越せたら。

大谷に告白するかも、しれない。

まぁそれは明日になってのお楽しみということで。

それじゃ寝よっ。



朝焼けの枕元、携帯の起床警告が午前六時を噎び鳴く。

携帯の機動先、一日の線引きに区切られる連続投稿と再会する。

昨夜の私、削除しよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る