DQNネームでも普通に暮らしたい

@tomaho4649

第1話

 学校で1番の最悪の行事、それは入学式。

 この行事では新入生はもちろん、先生、一部の上級生、そして保護者などたくさんの人の前で行われる。

 他の人達にとってはただの入学式かもしれない、しかし俺にとっては超が100個はつくほどの大問題なのだ。

「有村興毅くん!」

「はいっ!」

 いつの間にか俺のクラスの番がきていた。

 入学式で行われる呼名、これが俺にはゴキブリを食べるよりいやなことなのだ。

 後ろでは俺の気持ちなどこれっぽっちも理解していない俺のバカ親二人が、自分の息子の出番を楽しみそうに待っている。

 人ごとだと思いやがって! そもそもお前らのせいで俺がこんなにも悩み苦しんでるんだぞ! あぁ、緊張して体が震えてる。

「ちょっと顔が赤いけど大丈夫? 僕はカッコいいと思うけどな、ナイトの名前」

 隣に座っていた幼馴染のみのるが俺に励ましの言葉をくれる。

「この世でそう思ってるのはバカ親たちと

 実だけだよ」

 実は人の気持ちのわかる優しいやつだが、少し人とずれているところがある。

「鈴木実くん!」

「は、はい!」

 いつの間にか実の番になっている。

 なら次は俺の番だ。

 額から汗が吹き出る、喉が渇いてうまく口が開かない、これから起こることが怖くて仕方がない。

 なぜ俺がこんなにも名前を嫌がるかあなたにはわかるだろうか?

戦場正義の騎士せんじょうジャスティスナイトさん」

「ひゃっ、ひゃいっ!」

 そう、俺はいわゆるDQNネームというやつなのだ。



















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