第2話
海未の前世だという花魁・
そして今日、大学の講義が午前中で終わる水曜日──
海未とのいつもの待ち合わせ場所に行くと、ベンチに並んで座る海未と礼知が目に入った。
──って!!
「おい!花魁! その今どきな恰好はどうしたんだよ!?」
礼知は霊体であるために、輪郭がおぼろげに光っている。
だから海未の隣にいるのが礼知だとわかったようなもので、その風貌は温泉宿で見た時とは全く変わっていた。
沢山の
女性的な体のラインを強調した小さめサイズのTシャツに窮屈そうに押さえられた上向きバスト。
巷のヲタに人気のアニメ『Dカップ美少女JKひなぎく』の主人公をそのまま実写化したようなダイナマイト美乳だ。
これまたヒップラインの丸みをこれでもかと見せつけるデニムのホットパンツから伸びているのは、高めの位置に燦然と輝く白い絶対領域。そしてその先に美しいコントラストを作る黒いサイハイソックスを纏ったしなやかな脚だった。
足元のスニーカーは絶妙なゴツさで、エロさをギリギリのラインで爽やかに押しとどめている。
ちくしょう!!
なんて可愛いんだ!!!
吉原の花魁てのは伊達じゃないんだな。
顔立ちだけでなく、スタイルも抜群じゃないか。
俺の
「ヨシくん、礼知さんは私の前世の姿なんだからね!? そこんとこ忘れないで!」
「もっ!もちろんだよ! 確かに現代の服装も似合っているが、それは海未の面影があるからだよな!」
実際には、海未も可愛らしい顔立ちではあるが礼知とは全く似ていない。
けれど、美人と重ねられたことに満足したのか、海未からのそれ以上の追及はなくホッとした。
「花魁道中の恰好のままでは、宗次郎さまを探すのには何かと不都合でござりんしょう。海未の衣裳を借りたのでありんす」
礼知も自分の恰好は結構気に入っているようで、ベンチから立ち上がるとくるりと一周して見せた。
恰好はともかく、黒縁の伊達メガネは完全に無用じゃないかと思うが、可愛いから許すとしよう。
「それでは、宗次郎さまを探しに行きんしょう」
ひとり張り切って歩き出そうとした礼知を俺は慌てて呼び止めた。
「ちょっと待て! 俺にはその宗次郎探しを手伝う義理はない。てゆーか手伝うわけにはいないだろう!」
振り向いた礼知が小首を傾げる。
ちくしょういちいちかわいいな!
「わっちが目覚めた
「だから! そいつが見つかったら、俺は海未と別れなきゃいけないってことだろ? そんなの協力できるわけないじゃないか」
「そうだよ! 私だってヨシくんが大好きだもん。 たとえ宗次郎さんの生まれ変わりが見つかったって、ヨシくんと別れるつもりはないよ!」
俺の抵抗に、海未も必死で加勢してくれた。
そりゃそうだよな。奥ゆかしい海未だもん。いきなり “前世で契りを交わした宗次郎です” って言い寄られても、見知らぬ男とほいほい付き合い出すなんてことは有り得ない。
海未は俺に惚れている、一途で可愛い女の子なんだ。
結託する俺たちを前に、礼知ははああっと深いため息を吐いた。
「海未もぬしさんも、わっちがこのままの姿で現世に居座っていては迷惑でござりんしょう? 男女のむつみごとも、わっちがいては障りとなりんすよ? 兎にも角にも、わっちは宗次郎さまさえ見つけられれば海未の中に戻りんす」
確かに、礼知が実体化して海未にくっついたままでは(魂は一つだから、海未から離れて動くことはできないらしい)海未とイチャつくのもはばかられる。
例えそこに目をつぶってイチャついても、海未が快感を得始めるとその隙をついて海未の体を乗っ取ろうとするから気が気じゃないし。
やはりここは礼知に成仏(?)してもらい、大人しく海未の潜在意識の中に戻ってもらうのが得策なのか。
俺と同じ結論に達したらしい海未と目配せをして、俺たちは仕方なく宗次郎探しに協力することにした。
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