第一章 鬼退治

「私の名前はメルこの子がリザでこっちのがえーと」

「アオだよおぼえろよ」

「そうそう」


「おいらはもも」


「あなたの願いは何」

メルの表情が変わる


「鬼を退治して欲しいのだ」

「鬼に村を無茶苦茶にされて村の財宝と姉ちゃんもさらわれて……」

「お願いだ鬼を退治してくれ メル アオ」

呼び捨てかこのガキ、と少し思うがまあ広い心で受け止めてやろう


「ぽこ」

メルは容赦なく拳骨を喰らわす

「メルさんでしょ」

メルの声がこわおい

「おいおいメル子供にそんなに向きになるなよ」

メルをなだめるアオ

「ごめんなさいメルさん」

ももは少し涙目でメルに謝りアオの方を向く

「いいてオレは」

泣きそうな子供に謝られるのは少し気が引ける

「わるいな アオ」

と ももは鼻くそをほじりながら真剣に謝る

なんだこのくそガキその態度は

オレはキレそうになるが まあ まあ ここは広い心で受け止めてやった


「分ったはその願いかなえるわ」


「あなたの願いをかなえに行きましょう」

メルはきめ顔でいった


「あのー、メルさんオレも行くのですかー」

アオは小さな声でそろっと言う

「なに水差してるのよせっかくの決めゼリフが台無しじゃない!」

「いやいや鬼とケガじゃすまないだろ」


「あなたね、はあ あなたは私が守るから私を信じなさい」

メルの翠緑色の眼差しに吸い込まれそうになる


「わ、わかった」


メルはため息を一つ

「使用人がいなくなったら誰が掃除するのよ」


「っておい」


「ももくん扉を開いて」


チリリン



扉の先はのどかな田園風景が広がっている

願いの館が風景に似合わず立っている


「ここは、どこだどうなってんだ!」


「ほんと騒がしいわね どこって私たちのいた世界と違う世界よ」

「異世界から異世界ややこし!?」

「ももくん村に案内してくれるかしら」



そこには家が壊され無残にされた村の風景が移る

「ひどい」


白髪で白く長いひげの生えた杖をもった老人がいた

「おお ももどこへ行っていたんじゃ」

「ごほんごほん」


「じいちゃん大丈夫か」

ももが駆け寄り心配そうにする



「その方たちは誰じゃ妙な恰好をしとるの」

「じいちゃん安心してこの人達が鬼を退治してくれんだ」


「なんとそれはそれは」

村長はアオの手をギュッと握る


えオレ 内心困惑する


村長の家に真似かれ、事の詳細を聞く

「わしはこの村の村長じゃ」

「この村から少し離れたところに山があるんじゃそこには鬼が城を立てて住んでおるのじゃが」

「昔は鬼が村の守り神とされとったんじゃ」

「ここ数年は鬼と交流をはじめたんじゃ、人間は鬼に畑でとれたものをわたし鬼は人間に山のものを与えたのじゃ」

「しかし二日前の事じゃった鬼が村に現れこのありさまじゃ」

「家は壊されて財宝や食料も奪われ、戦おうと鬼に立ち向かっていたわしの孫ももの姉さんもさらわれてしまたのじゃ」

「わしらも必死に戦ったのじゃが鬼は大きく力も強い、到底わしらじゃはが立たなんだ」

「どうかどうかあの鬼を退治してください」


「わかりました村長 必ずお姉さんを取り戻します」

アオは村長の思いに心を決めた


「そうじゃこれを持って行ってくだされ」村長は奥から何か持ってくる

村長は鬼ヶ城までの地図と腰刀を渡した

「この刀はこの村で代々受け継がれている刀じゃをお役に立つかもしれません」

「この地図何じゃが、どうやら鬼が置いていたようじゃ」

(返してほしくばここまでこい)


悪物にしては えらく親切な鬼だな

アオは村長から腰刀と地図を受け取る


村長とももの家を後にして鬼ヶ城へと向かう


村を出て、もらった地図を広げてみる


なんだこの地図まったくわからん

ところどころ漢字のような文字が書いているが読めない

「メル読めるかこの地図」

「読めるわけないじゃないここ異世界よ」

じゃ何で言葉は通じるんだよって思ったけど今はおいておこう


「待ってくれー」

ももが走ってくる


「はぁはぁ おいらも連れていってくれ」

ももは息を切らしながら言う


メルはしゃがみももと同じ目線で話す

「ももくん危ないから村でまってて」


「おいら村をめちゃくちゃにされて姉ちゃんまでさらわれて」

「悔しんだ、だからおいらも連れてってくれ!」

ももはこぶしを握りしめメルに訴える


メルはふと立ち上がり

「わかったはちょうど地図も読めないところだし でも私から決して離れないでね」


「わかった」

ももは大きくうなずく



「じゃあ鬼退治にレッツゴー」メルは高らかに手を突き上げる

なんとも不謹慎だ

ももの姉がさらわれたっていうのに、そっとアオはももに視線をうつす


「おー!」ももも手を突き上げる

「って ももくんノリノリなんですか さっきまでのシリアスはどこ行ったんですか」

ついついつっこんっでしまった


ももの案内で城へと向かう



………そのころ鬼ケ城では………

「ボス!とらえた娘を連れてきました」

「娘近く寄れ」

「どうして村を襲たんだ私たちはただ平和に暮らしてただけなのに」

「威勢がいいいな娘、どうして遊んでくれようか ぐはははー」

「そうだ青鬼」

「はいボス!」

「川に船を置いて来たか」

「はいボスの言う通りにしました」

「楽しみじゃ ぐはははー」

………



何分か歩いていると川が見えてくる

大きな川が西向きと北向きに流れている

「この川は鬼と人間との境界線みたいなものだ」

「この川を北向きに行けば鬼の城まですぐだ」


こから先は敵さんの領域ってところか

「ってでも船なくね」

「どっかに橋とかないの」

「橋は鬼と人間との関係を保つために作られていないんだ」


「あったわよ船」

メルが指さす方向に小舟が岸にある

何と準備のいい

「あの船使いましょう」


そうだあれはきっと罠にちがいない一々地図まで村に置いて行った鬼の事だ船に乗った瞬間爆発したりするんじゃないか


「アオー 何してるの早くいくわよ」

メルたちが船に近づく


「まてメル罠かもしれないぞ!」


アオは慌てて全力で走りメルを止めようとする


「だめだー!」


その時川の小石で滑ってしまいそのまま顔面スライディングをかます


「大丈夫」頭上からメルの声が

ふと声のする方を振り向くと


なんとも清楚で可憐な純白な お、おパンィいがスカートの間から見え隠れする

その絶対領域から見える雅やかさは何とも心高ぶらせるものだ


しかし


少年漫画のお約束のラッキーな光景だが、対外決まって美少女に吹っ飛ばされるってものだ 


オレの失われた記憶がそう叫ぶ!


まあそれも悪くない

アオは覚悟をきめその時を待つ


「なにしてるのあなたのせいで船が流れて行ったじゃない」

どうやら顔面スライディングの勢いで船を押してしまたようだ

船は爆発なんてする気配もなく川の流れに乗ってぷかぷか流れていく


あれ気が付いてない、オレは少し安堵した が、


「ガブ」


「ぎゃー」

顔面スライディングで擦りむいた鼻をリザに行かれてしまった

運命からは逃れられないようだ


「すまん」

アオは噛まれた鼻をおさえながら謝る


「ほんとあなたは 仕方ないわね」

「私に任せなさい!」

メルは仕方なさそうな表情を変え胸をぽんとたたく


「リザよろしく」

「メル様わかりました」

リザは鋭い爪を光らせ木をなぎ倒す


木の断面はなめらかでまるで最初から切れていたかのようだ


リザさんやべあの力で噛まれてたら顔面崩壊してるはー あまりの出来事に絶句する

メルは倒れた木に手をかざすと小さな薄緑色の魔法陣みたいなものが現れたかと思うと木が小舟えと変わっていく


なにこれ魔法!?

心が高ぶりスゲーと声を出しそうになったがメルに「騒がしいわね」といわれるのが

癪なので言葉を我慢して(別に驚いてないもんねー)という表情で口笛を吹いてごまかす


「すごーい」

ももは目が輝き興奮しているようだ

その興奮と期待の目がアオへと向けられる


すこし困惑するアオ

期待の瞳の輝きは止まらない

………

「ふ」

ももの輝く瞳は消え腐ったものを見るかのようにかわる



「ごめんよーどうせオレはラッキースケベの役立たずですよ!」

心の涙が止まらなかった


「では出発就航ー」

「はいアオ漕ぎなさい」

言い返す言葉も気力も残っていない

北の方向の川に乗ると流れるように進んでいき案外漕ぐのは楽なものだった

メルは楽しそうに景色を眺めている



数分後

「おぇー」

メルの嗚咽が静かな川に響く

メルの顔は真っ青になる

美少女のこんな姿は見たくないものだ


「メル様大丈夫ですか」

リザがメルの背中をさする

まあこれはこれだ少し静かになっていいかと

内心思っていると川が二手に分かれるのが見える


「ももどっち行けばいいんだ」

「えーと右……」

「はい、右ねよいしょっと」

「……は、滝があるので左だ」


「もう右いっちゃたよ!」

「滝ってやばくない!」

アオは川の流れに逆うように漕ぐがゆっくりと流されていく

滝が近くなってきたのか漕いでも漕いでもドンドン流される

「アオさんもう滝が」


「ぬおおおお」

アオの腕が分身したかのような速さで回転するが川の流れはドンドン速くなりあらがえない

「おいメルどうしよう」

「おえー」

メルの顔色は真っ青だ

ってダメじゃん

「アオもうダメだ」

ももの叫びとともに小舟ごと宙へと投げ出される


くっそオレは記憶もとりもど出ないままこんなところで死ぬのか

何もできないのかせめてこの二人を守らなくちゃ

アオはとっさにメルとももを抱きかかえる

水面がすごい速さで近づく

やばいもうだめか目をつむり覚悟する


「んあれ痛くない」

水面直前で停止する

「ガキ小舟もまともに操作できないのか」

上を振り向くとリザがアオの服の裾をつかみ宙にうく

「まぁ、ガキにしてはよくメル様とももを離さなかったな上的だ」

アオは安堵の表情を浮かべる

右手に感触が

もみもみ なかなかに弾力がありいい柔らかさだ

これは お、おっぱい!


やばいバレたか

メルはどうやら気絶しているようだ


そのまま川の岸にリザにおろしてもらう


「アオごめんなさいおいらががもっと早く言ってれば」

もも目をうるるさせはしょんぼりと謝る


「うううん大丈夫だったし」

まあ結局はリザが助けてくれたしな

まあ バレずに女の子の胸をもめたから今日はもう上機嫌だし

いかんいかん


「メルも大丈夫か」

メルの方に目をやると


「うんバッチリよ」

メルはぴんぴんしている

「でも何か胸が……まあいいわ」


「ドキ!!」

背筋がピンと伸びる

あせったーバレたかと思ったー

ほっと胸を撫で降ろすアオ




「アオ、メルさんここからだとかなり遠回りになる」

「でもこの滝登るのもな 仕方ないこの森を抜けていくか」

リザはメルの肩にひょいっとのる


森はいかにも何かでそうな不気味さを放つ

アオは鳥の鳴き声とか風が草を揺らす音とかに一々ビビり声を出しそうになるがメルとももが平気そうにしているので

チキンなハートで我慢する


ガサガサ奥の草むらから気配を感じ立ち止まる

「メルあそこに何かいるぞ」

草むらの揺れる音はドンドン近づくたびにアオの鼓動が速くなる

お、鬼がでてくるんじゃないだろうな

ドクンドクン

ガさガサ


何かが草むらから飛び出してきた

「きゃ」

アオは女の子みたいな悲鳴をあげ頭を抱える

飛び出してきたのは

赤いスカーフを首に巻いた白い柴犬だった


「いぬ!?」


メルとももの腐ったものを見るような視線がアオを襲う


「い、いやべつにービビッてたわけじゃないし ちょっと警戒しただけだし」

「じー」

そんな目で見るなー

心が叫びたがっている


「そんなことはいいわ!」

「アオ捕まえなさいあの犬を、逃がしたら屋根裏部屋の掃除も増やすわよ」


「ってなんでだよ」

メルに急かされ犬を捕まえにかかる

アオは犬を追いかける 犬は逃げる アオは追いかける………


「はぁはぁ もう無理だ」

アオの額からは大量の汗が滝のように流れ出しその場に膝まずく


アオは記憶はないものの体育会系じゃ無かったのだと悟った


「あなた使えないわね」


「ワオー!!」

犬の悲鳴のような鳴き声が聞こえる

その鳴き声のする方に向かっていくと

犬は今にも崩れそうな崖の出っ張りにかろうじている、少し動けば足を滑らせ落ちていきそうだ

「何であんなところに おい犬 大丈夫か待ってろ今助けに行くぞ」

アオは犬を助けに行こうと崖を下りようとする


「あなたバカなのあなたまで崖から落ちるわよ」

「だったらどうするんだよ」

「そうだリザさっきみたいに飛んで犬を助けてやってくれ」

「あんまりリザに無茶させないで私に任せて」

メルはそういうと肩からリザをおろし

手をかざす、するとメルの体は浮き上がる

これまたちょうどいい高さだ

パンツがスカートの隙間から見え隠れする

やはり純白な白だ美少女はそうでなくっちゃ

何て思っていると


「イタ! この足に来る鋭い衝撃は!」



リザの鋭い牙がアオの足首に突き刺さる


「リザ噛むなよ」 痛いよマジで


メルはそのまま犬の方へと飛んでいく

「ワンちゃん大丈夫よ今助けるから」

メルは犬を抱きかかえて戻ってくる

どうやら犬は前足をケガしている様子だ

「あなたケガしてるじゃない」

メルはケガをしている犬の前足に手をかざし傷を一瞬で治してしまった


さっきの顔面スライディングの鼻の傷も治してほしいものだ

メルはすごい力を持っているのだと確信する


メルが何やら悩んでいる様子だ

「どうしたんだメル」


「この子に名前をつけようと思ってるんだけど」

手を組み悩むメル


メルのネーミングセンスのなさはアオが体験済みだある


アオも犬をまじまじと見ると

「ぐるるる」

すごく威嚇してくる

どうやらアオは嫌われてしまたようだ


「よし決めたはこの子は犬のお母さんよ」

「私と一緒に鬼退治にいてくれるかしら」


(レディーの頼みなら仕方がないな、おっとそこのブラックキャットのお姉さん僕が仲間になるからにはもう安心さ)

リザは無視をかましメルの肩に乗る

(そのツンとしたところも可愛いよ)




「ワン」犬のお母さんは格好つけて返事した


「今のはOKなのか?」


「あとは猿とキジをお供にするわ!」

メルは張り切っている


そんなこんなで犬のお母さんがお供になった


あー とてもお腹がすいたな朝食を食べそこね昼ももうかなりすぎたであろうか

こんなこと言ったらメルに怒られるだろうな

そう思いつつもお腹は正直なものだ

やばいお腹が鳴る


「ぐるるー」

アオより先にももの大きなお腹の音が響く

ナイスもも 心でグッジョブする


「ももくんお腹すいなんだね」

「そうねお昼も何も食べてないしね」


「よし、犬のお母さんマツタケを取ってきて」


「ワン」

(レディの頼みだ人肌脱ぎますか見ててね愛しのブラックキャトちゃん)リザにウインクをかますもリザは無視


「お、どうやら見つけて来たみたいだな」

犬のお母さんに近づこうとするアオに鋭い視線で睨みつけメルの元へと駆け寄る

(見てるかい愛しのブラックキャットちゃん)リザにウィンクするもリザは無視をかます


「さすが犬のお母さん」


「でもさすがに生じゃ食べれないだろ」


メルがパッチと指を鳴らすと人差し指から炎が現れる


何と便利な力だ


焼きマツタケを食べて休憩していると

またしても草むらから気配がする


やばい鬼に見つかったか

アオは心拍数は上がる


猿が倒れる


そっちかー


「どうしたのおさるさん」

メルが駆け寄る

猿はメルの持つマツタケを見て喉を鳴らしものほしそうな目でメルを見つめる

「鬼退治についてきてくれるならあげるわ」

メルはにっこりと微笑む


こうして猿が仲間になった

ちなみにだが猿の名前はパン・クンソクである


まあこの調子でキジもでるのだろううなと思いつつもあたりは暗くなりはじめ日は沈む


少し歩いていくと小さな洞窟が見えて来た今日はここで野宿をする頃にした



メルの力のおかげで焚き木もでき夜の寒さもしのげそうだ


ももが突然涙をこぼし始めた

「もしもおねえちゃんがいなくなっちゃったらどうしよお」

不安と悲しみの感情がももの心を巡る



「大丈夫よ」「大丈夫」

メルがももをぎゅっと抱きしめ頭をなぜる

ももはメルの胸に顔をうずくめ落ち着いたのかそのまま眠ってしまう


このエロガキ内心そう思うが

いつもと違う大人っぽくも優しいメルの表情に見とれてしまう


「あなたももう寝なさい」

「お、おう」

いつもわがままでめちゃくちゃだけど犬や猿を助けたりなんだかんだですごく優しい奴だな

オレに対しては………思い出すとなんか腹が立ってきたしもう寝よう


真夜中ふと目を覚ますメルの姿はなくアオは外に出る

夜空は星は煌めき月明りがぼんやりと風景を照らす

メルが夜空を見上げているのが見える


アオはメルに近寄る



「アオ、願いはかなって欲しいもの?」

「そりゃそうだと思うけど」

「でもその願いは私欲に満ちたものでも?」

「難しいことはわからないけど 誰かを困らせる願いはだめじゃないかな」

「そうね」


「もう寝ましょ明日は早いからね」

メルの表情は少し切なげだった



………そのころ鬼牙城では………

「おい赤鬼看板は立てて来たんだろうな」

「はいボス! バッチリでござんす」

「よしぐははは」

………


次の日 太陽がまだ登っていない時間から森を歩いていた

昨日の夜のメルの表情を少し気になったものの

今日はキジが仲間になるのかなとか思いながら歩いていると

二手に分かれる道が見えて来た

「よし今度は間違えないぞ」

「ももどっちだ」

「わからないんだそこの部分だけ地図に穴が開いてしまて」

「困ったな」

「アオこっちよ!」

「メル分るのか」

「だってほら」

「鬼ケ城まで徒歩30分って書いてるわよ」

看板が立っている

「ってこれこそか絶対罠だろ」

こんどこそ罠に違いないそう確信する


「でもわかんないだしこっち行くわよ」

「待ってメル」

「こっちだオレを信じて」

アオの顔つきは真剣そのものだ


「わかったわあなたがそこまで言うなら信じるわ」


看板とは違う方向に歩き始める


歩くも歩くも 歩くも歩くも鬼ケ城は見えてこない

もう二時間ぐらい歩いただろうか


内心まさかとは思いつつも少し休憩を取ることにした


「アオこっちでよかったのか」


「アオどうなのよ」


犬のお母さんと猿のパン・クンソクも疑いの眼差しを向ける


「なんだよみんなしてオレをいじめやがって」


「はぁ、帰ったら屋根裏の掃除もお願い・ね」

優しい言いぶりではあるがメルの顔は引きつっていて怖い


メルは高々に宙をまう


「あそこが鬼ヶ城か」


メルは場所を確認して下りて来る


「みんな私についてきて」


メルについていき森を抜けようやく鬼ケ城が見えて来た


そういえばキジがまだ仲間になっていないような気がしたが

まあとにもかくにも早くいかなきゃ


鬼ケ城まで続く長い階段を登ろうとすると


「待ってアオ」メルの目が怖い


どうしたんだ何か罠でもあるのか

アオは急に警戒し始め辺りをキョロキョロする


キジがいないは


「そこかよ」

「このさいもうキジなんてどうでもよくね」

「だめよ相手は鬼なのよお供はちゃんと揃えておかないとないがあるかわからないわ」

メル一人で大丈夫じゃね とか内心思う


一羽の雀が木に止まる


メルの目が輝く


「おいおい木に登って雀を取ってこいとか言わないだろうな」

「こう見えても運動能力は皆無だぜ」



メルは両手を拳銃のように構え雀に狙いを定める

「ばん」と口で言った瞬間雀が木から落下する

メルはすかさず落ちてくる雀をキャッチしする


何やらオレの方を指している

「あ 戻ってきた」

「仲間になったわよ」

メルがアオに両手に乗せた雀を見せる


何でだろ雀の目をこわい

完全に警戒されている様子

どうやらオレが雀を木から落としたことになてるらしい

そしてそれを助けたメルみたいな感じだろう


「はぁ」

アオはため息ひとつ

くそこの女めやってることが詐欺師だろとか言いたかったももの道を間違えた失態があるので

まあ許してやろう


「じゃあお供もそろったことだし鬼を退治にいくわよ」


ちなみにメルは雀の名前を付けるのを忘れているようだ


階段は思ったより長く体育会系ではないアオにとってはこの状況は拷問にも等しかった


立派な角と牙をもった2mぐらいはあろうかという青鬼と赤鬼が門番をしている


「おっとここは通すわけにはいかないな人間」

何やらメルと鬼がもめてる様子がうかがえるがアオはまだまだ階段を上がりきる様子はない


階段を登り切ったあとに手荒なお出向は勘弁してほしいものだ


まあメルならあんな奴ら一瞬で片付けるだろうと思いながら残りの階段を上っていると

あれあれ どうやらメルたちが縄で腕を後ろにされ結ばれる様子が見える

「なんでつかまってんだよ まてまて」

そのままメルたちは門の中に入っていく

ちょっと遅れて門の前に

アオだけがぽつんと門の外で置き去りにされてしまた


「あれー なにこの展開」

「おれどうすんの え~」

と思ったが出入り用の扉を見つけ中へ入る

メルたちを助けなくちゃなんて粋がっていたが3秒でつかまった


門をくぐると砂利の広い庭と五階建ての和風の大きな城が立ってあった


ボス人間と犬と猿と雀と猫を捕まえてきやした

「そうか」

城のふすまが開き奥から人影が

ボスというくらいだからとても大きいな牙と角をもった大きな鬼が出てくる

と思いきや

出て来たのは、ももと同じぐらいの身丈の鬼だった恰好は殿様っぽいがボスらしい


「おい人間!」

威圧的な声に額に眉を寄せに睨むボス

さすがに睨まれる鬼だそれなりの迫力があり圧倒される


「遅い!」

「遅すぎる!」

「せっかく地図まで渡して船まで用意して念のため看板まで用意したのに遅すぎる」

なんか罪悪感を感じる、アオその言動はすべて裏目に出ていた用だ

「で謝る気になったか!」

なんのことだか話が見えてこない

「どういうこだ」

アオはついぽろっと口を滑らす

「お前ボスに何て態度だ!」

「構わん!」

「あくまでしらばっくれるというのなら!」

「あれを持ってこい!」

ボスの命で大きな鉄の鳥かごに閉じ込められたももの姉が現れる

「姉ちゃん!」

「もも!」


「姉ちゃんを返せ!」

ももの威勢のいい声

「何だガキ!」


お前もなと心で突っ込むアオ


「おいメルどうして何もしないんだ」

「騒がしいわねあなたすこしだまてなさい」

まあメルには何か考えがあってわざとつかまったんだろう


「あの娘を助けた久場」

「この青鬼にかって見せよ」


「おい刀をもとた小僧よ」

え、オレ最悪じゃん

「そちが青鬼に勝てたら返してやる」

無理無理無理

「小僧早く刀を抜け」

2メートルはあろうか鋭い牙に鋭いるのそれに大きな棍棒

青鬼には棍棒をぶんぶん振り回し準備万端だ

刀なんて使ったことないしたぶん記憶がないからわからんけど

もしかして剣術の才能がたぐいまれだたりして

何かやる気出てた

やってやる!

オレの予想からするとあの手の奴は何も考えずただつっこんで来るはずだ

それをさっと交わしすぱっと人たち浴びせてジエンドだ

アオは刀を抜き肩の力を抜き構える

何かオレ様になってるんじゃね

「じゃあ行くぞ小僧!」 青鬼がすご勢いで走ってくる


オレの予想どうりだ


「ドン、キー」

棍棒が刀を削る音がした


オレはギリギリのところで棍棒を小刀で受け止めたがそのまま5メートルほど飛ばされる

アオはメルに助けを求める視線を送るが

メルはどうやら助けるそぶりがない

くっそやるしかねえかもものためにもオレはひけねえ


刀を構え鬼に突撃していく


「ドカ」鈍い音

棍棒がアオの腹部に直撃する

血を吐きながら地面を転がっていく

 

「そろそろやばいんじゃないかメル」

「助けなくていいのか」

リザはメルの顔をみる

「アオには大切なことなの」

メルは下唇をかみしめている


アオは何度でも立ち上がり突進していくそのたび棍棒で殴られ地面を転がる


「アオもういい」

ももの声や犬のお母さんの声、猿のパン・クンソクの声も何やらする


「男には引けないことがあるんだよ」

アオは立ち上がる


体中傷だらけでもう痛さなんて感じなくなってきた

刀を構えて意識がもうろうとなりながらも突っ込んでいく

足がもつれ鬼の前で顔面から倒れる

鬼はニヤッとして棍棒を振り上げ最後の一撃を刺そうとする

オレもこれまでかそれを覚悟した


メルが鬼の前に仁王立ちで立ちはだかる

なんだお嬢ちゃんどうやって縄をほどいたか知らないがオレは女でも容赦しないぞ

そのまま鬼は棍棒を振りす

「メルに・げ・ろ」

アオは死にかけの言で言う


鬼を睨むその目は本気に殺意を感じさせる


「ドカーン!」


辺りは砂埃が舞う


砂埃が収まり勝敗は決したようだ


鬼は吹きとっばされ城えとめり込み一発KOだった

あまりの出来事でボスもその周りの鬼たちも凍り付く

「ボスさんこれでもまだやりますか」

メルの殺気だった目線はボスを震えあがらせた


やばい血流しすぎたかも意識が次第にうすれなくなる


「アオ アオ………」

メルがオレに何かいているようだがよく聞き取れない

やば死ぬかも

アオは闇の世界へ吸い込まれていく



あれ、なにやら頬に柔らかい感触がこれはもしや ひ・ざ・ま・く・ら

オレは少し頭を動かしすりすり感触を味わう やば めっちゃいい匂いする


「イダ!」


この感触はリザに噛まれた感触だ

その痛みで飛び起きるアオ

もう少しメルの膝枕で堪能した方


こらリザせっかく傷をなをしたのに


「ここは」

アオは噛まれた鼻をおさえながら訪ねる

「鬼ケ城の中よ」

八畳ぐらいの畳の部屋、もう夜になったのだろうかあたりは暗い ろうそくの火だけが淡く光る


「ももの姉さんは」


「大丈夫よ」


「結局どういうことだたんだ」


「どうやらボスの誕生会の手紙を届けたはずなんだけどどうやらそれが村には届いてなかたみたいで

赤鬼は人間に確かに渡したって言っているんだけど

もしかしたら村の人じゃない人が受け取たんじゃないかって」


「明日盗んだ財宝と私たちを連れて村に謝りに行くみたい」


なんだかくだらない内容に少しあきれた


ふすまが開きボスが現れた

「坊主すまなんだな少しやりすぎたわい」

ボスは軽く頭を下げアオの謝る


「メルといったか少し聞きたいことがあるのじゃがいいか」


メルはボスに連れられ部屋を出ようとする

リザもそれについていこうとしたがメルにアオを見ててと頼まれる


ボスの部屋は少し広くツボや掛け軸が置いてあった

ボスは台座に座り頬ずえをつく


「おぬし何者じゃ」


少しの沈黙


「私はただの館の主ですよ」

軽く微笑む

「まあいい 隠してはいるが相当の力の持ち主じゃな」

「あなたほどではないですよボス」

「私も聞きたい事があるのですが」

「何じゃ」

「あなたは神ですか」

メルの表情はどこか不気味だ



ボスは少し沈黙し口を開いた

「わしは村の守り神じゃ おぬしの言う神と言うのがなにかはわからぬがな」

メルは少しにこっとして言った

「村の神が村を襲うってどうかとおもいますよ」

「ぎク」

痛いとこを疲れてしまうボス

「ボスのその力は?」

メルが尋ねる

「ただ他のものより年を取るのが遅いぐらいじゃよ」



「おぬしの望むものが何なのかわからぬが」

「思い人は大切にせいよ」


「ボス違いますからアオはそういうのじゃないですから」

表情一つ変えない

「涙まで見せて心配しとったくせに」

メルの顔はリンゴのように赤く染まり

「知りません」

とその場を去っていく




翌朝メルたちは鬼の船で村に帰った

言うまでもないがメルは船酔いした


ボスと赤鬼青鬼が村の人たちに謝り村の復旧を手伝うことで解決した



村を治し終わった日の夜

村でボスの誕生会を開いた


「ボス100誕生日おめでとうございます」

え~子供だと思てたけどかなり年上じゃん

マジでボスだったんだ


その夜は楽しくなるはずだった

「ありがとうねアオいろいろ頑張てくれて」

メルからの思いがけないねぎらいに困惑するアオ

「いやオレは結局メルが話を収めたんだし」

少し照れながらメルを見ると


「ぷはー ひっくん」


「ってメルそれ酒じゃない」

メルの頬はぽと赤くなり どことなく色っぽい


「アオおまえ私の酒がのめないっていうのか」

メルがアオの肩に手をまわし酒の瓶をアオのほぺったにぐりぐりあてる

「たぶんオレ未成年だし」

ってか酒くさ!

「メル飲みすぎだって」

「まだまだのむぞー ひっ」

「おーいリザーメルが酔っぱらてるぞ」

リザを呼びに行くと

「お前らおを見ていたが全然なてな方ぞお供って言うのはな………」

どうやらこちらもいい気分になている

普段あまりしゃべらないリザが口のうるさい上司みたいに説教している

犬と猿と雀何かかわいそうだ



翌朝

「メルさんアオさんリザありがとう」

「これをお礼に」

村長が差し出したのは金がいっぱい入った袋だった


「いいえお礼はいただけません」

「おいメル何でだよ」

「せめてこの刀だけでも」


アオは刀を受け取る

ではこれで


「ばいばーい」

ももの明るい声で見送られ村をあとにする

何かを成し遂げたそのすがすがしい気分は心地のいいものだ


「何でもらわなかったんだよ」

「あなたってほんと騒がしいね」

帰ったらわかるから


館の前まで着きメルが扉を開け中に入る


「あれ刀ない!」


さっきまで手に持っていた刀が消えていいた


「メルどういうことだ」

「私たちは異世界のものを持ち帰ることができないのよ」

「私たちが異世界に行くことでその世界に歪みが生じるの私たちが戻った時点で世界が歪みもとに戻そうとするの」

「あなた持っていた刀が消えたのも歪みがもどる過程で消えるのよ」

「そしてあの世界から私たちのいたという事実は消え結果だけが残るのよ」

「それと私たちからあの世界に戻ることもできない」

「どういう事?」


メルは扉を開けて外に出るそこは先までいたももの世界ではなくアルファードの高原だった


「あれ戻ってるどういうことだ」

「私はもものいた世界のものではないから私からいけるのはここだけよ」


「あなたもやってみなさアオは扉を開けて外に出る」


「あれ、外に出たはずなのの家に戻っている」


「あなたの場合は記憶がないから元の世界に帰れないのよ」


「じゃあどうやってモモはこちらに来たんだそれと何で異世界なのに言葉が通じるんだよ」

「それは巡り合わせよ 噂や伝説、願いの強さだたり、運だったり私にも詳しくはわからないは」

「それとなぜ言葉が通じる」

「それはあなたに渡したペンダントのおかげよ」

「メルはつけてないじゃない」

「あなたね主が言葉ば通じなくてどうするの」

「そのペンダントにはわたしの力の一部が入ってるのよ」

「だからそのペンダントは絶対に外しちゃだめよ 寝る時も トイレするときもお風呂入るときも」


「わかったわかった」

メルは必要以上にこのペンダントを外すなと言う


「はい、今日も疲れたしもう休みましょう」

メルはパンと手をたたき話を切る



どうしてメルは願いを叶えているのだろう

ふと疑問に思う

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メルちゃんの異世界日記! イエローテイル @5s1

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