第34話 子供の行方不明?
俺たちは今町の中で子供を追いかけていた。変な意味じゃないぞ。これには訳があるんだからな。なぜか子供達と鬼ごっこをするハメになってるのだから。
「まてやーっ!」
「やーだねー、捕まえてみろー!」
「お願い待って…、もう疲れた。」
シオンはもうすでに疲れて座っている。子供達は疲れた様子はなく流石獣人だと感心する程だった。
数時間前 獣王国王城
「俺たちはこの国に現れた虚妖の奴らを捜すために来ました。獣王様は会っていないのですか?」
俺が問うと。獣王と秘書が首をかしげ互いに確認している。
「いや、そのような物にはあっておらんな。本当にこの国に来たのか?」
獣王が腕を組みながら答える。すると俺たちの横に黒い靄が集まり出すとその中から、声が聞こえてきた。
「えぇ、獣王よ、来ておるはずじゃよ。」
そしてその靄は徐々に晴れるとそこにはぬらりひょんが座っていた。
「誰だ貴様!」
秘書のレバルトさんは声を荒げ叫ぶとどこに隠していたのかいつの間にか手に短剣を握って構えていた。
「よいレバルト、下がれ。お主では勝てんよ。そして…俺も勝てんな。」
獣王の言葉にその場のほぼ全員が絶句した。今の王という地位を守ってきた獣王が勝てないと断言したのだ。獣王がどれだけ強いのかは分からないし、ぬらりひょんだってそこまで強いとは思わなかった。もしかしたら王国で争っていればすでに俺たちは死んでいたのかもしれない。
「それで、ぬらりひょん殿どう言ったようなのだ?」
獣王は続けて話す。そして、ぬらりひょんは王国出話した内容をそのままに伝えるとここに来るはずの虚妖について話した。
「ここに来るはずだった虚妖は鵺、名は夜宵と言う明るくて良い子なんじゃが目を話すとすぐ遊びに行ってしまう子でのう。仕事を忘れてこの国のどこかで遊んでおるのじゃろうな。」
夜宵。この名前はつい先程まで俺たちが捜そうとしていた子の名前だった。
「ぬらりひょんさん、タニアと言う女性は知っていますか。やよいって子を捜していたんですけど。」
俺はタニアさんについて聞いてみることにした。
「タニア?…いや、知らんのう。同名の別人じゃ無いかの?」
ぬらりひょんはしれっと答えると、すぐに獣王の方へ向き礼をするとそのばから消えてしまった。
「ふむ、とにかくその夜宵と言う奴を見つけなければならんのか?なら丁度良い実はここ最近王都で子供の行方不明事件が増えてきてな、数時間後にひょっこり現れるそうだ。だがその子供達は何があったのかを頑なに言おうとしなくてな。勇者殿はまだ若いし子供も話しやすいだろう。何があったか何をしているのかを聞いてきてくれ。」
獣王はそう言って一言、頼んだぞ。と言い残し部屋を出て行ってしまった。すると秘書のレバルトさんからも頼まれ王都で子供行方不明事件について調べることになった。
現在
「やっと…捕まえ…た。」
俺はようやく物陰に隠れていた獣人の子供1人を捕まえることができた。
「ゼェ…ゼェ…。さぁ…この間のいなくなっていた数時間…何をしていたのか…話してもらおうか…。」
息を切らしながら子供に聞くとと再び驚いてしまった。
「しょーがねーなー教えてやるよ。そのときは夜宵ちゃんと遊んでたんだよ。これ秘密な?」
獣国王都のどこかではタニアと1人の少女
が会っていた。
「まったく夜宵ちゃんはすぐ遊びに行くんだから。王様への宣言は代わりにぬらじいがやってくれたので会ったらお礼言うのよ?」
「はーい!ヴァニねぇありがとー!また遊んでくるねー!」
「あ、ちょっと!…はぁほんとに自由なんだから。」
王都のどこかでこんな会話がされていたが聞いた者はいないだろう。
するとタニアの目の前で黒い靄が広がりぬらりひょんが現れる。
「ふぇっふぇっふぇっ、ヴァニタスよ。あの子なら大丈夫じゃよ。持ち場に戻りなさいな。」
「ぬらじぃがそう言うなら戻りますけど…。それじゃあ後は頼みますね?」
「任せておけ、この世話焼き爺にのう。」
そう言ってぬらりひょんは姿を消し、タニア…ヴァニタスは城の前へ向かっていった。
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