第33話 獣人の国

 「やっと着いたー!!」


 「ほんとにつかれたわ。おしりが痛い…。」


 「ほんとに痛かったですね。せめて座布団が欲しいです。」


 俺たちは長い馬車移動が終わりようやく獣国の王都へと着いた。すると近くに別の馬車が止まり中から山羊の角が生えた獣人が出てくる。


 「お待ちしておりました。私は獣王様の秘書をしているレバルトと申します。勇者様は此方へ着いてきて下さい。」


 到着して早々俺たちはスーツを着て手にバインダーお持った秘書のレバルトさんに王のところへ案内されるそうだ。


 「あの、連れがいるんですが構いませんか?」


 「えぇ、構いませんよ何人でしょうか?」


 俺はとりあえずシオンは当たり前としてタニアさんをどうするか考えたが流石に無関係だし捜し人もいるのでここで別れることになった。


 「えぇ、私は大丈夫ですよ。では今日の夕刻までに見つけることができれば王城の前にいますのでいなければ他の町へ行ったと思って下さいな。」


 タニアさんはそう言うと早速町の中へ消えていった。


 「それでは参ります。此方で手配したこの馬車へ乗って下さい。」


 レバルトさんはそう言うと馬車の扉をあけ乗るように促す。まず、シオンが乗り込みそのあとに俺、レバルトさんの順で乗るとレバルトさんは合図を出し馬車を走らせる。


 王城まではそうかからないそうなので馬車の窓から外を見ていると様々な獣人がいる。猫、犬、鳥や、爬虫類?なのかワニのような獣人もいた。


 「獣人ってこんなにも個性があるんですね。」


 「えぇ、人間には無い個性でしょう?まぁ、貧富の差などは勿論ありますが活気があり過ごしやすい国だと自負しております。」


 レバルトさんは自信満々に言う。シオンも外をみていて目を輝かせている。


 そのまま外を見続けていると着物を着たタニアさんを見つけた。一瞬しか見えなかったが此方をみて嗤っていたような気がした。そしてその隣には同じような着物を着た女の子も見えたのできっとあの子がヤヨイちゃんなのだろう。


 「シオン、タニアさん子供見つけたみたいだよ。」


 「えぇ、見たわ。良かったわね。」


 シオンはそう言って優しそうに微笑んでいたので案外心配していたんだなと思った都同時にこんな表情もするんだなとシオンが可愛く思ったのは内緒である。


 「さて、つきましたよ。どうぞ此方へ王室へ案内いたします。」


 馬車は止まりレバルトさんに王城の中へ案内される。それを見ていた他の警護兵などに見られ少しざわついていた。シオンはそれを気にもせず歩いていたが城のメイドらしき猫の獣人を見つけるたびに目で追っていた。


 しばらく歩き階段を上り続け廊下を歩いているとレバルトさんが1つの部屋の前で止まると、ノックをし勇者がいらっしゃいました。と言うと中から入れと言う声が聞こえた。


 「それでは此方へどうぞ。」


 レバルトさんはそう言い扉を開ける。中には定番であるライオンの獣人がいた。


 その獣人は金のボサボサした鬣で顔は完全にライオンの顔であった。服は白を基調としており体型は遠目から見ても分かるほど筋肉がついてしっかりしている事が分かる程だった。


 「そなたらが勇者か。俺はこの国の王ゼルガ・ジル・ラオネルだ。この国には何用で来たのか聞いてもよいか?」


 ゼルガ王は威圧を込めたような低い声で俺たちに問うた。


 …あれ?板集めの件って伝えられてないのか?








 ー???Sideー


 ショウたちが獣王に会う少し前、丁度タニア見かけたときのこと。


 ガバッッ!!


 1人の女性が天界で目覚める。その周りには彼女の他5人が周りにいた。


 「ハッ…ここは?」


 「ここは?ってここは天界よ。貴方こそどうしたのよ。確か邪神を見つけたーとかいって。1人で下界に降りたじゃない。その邪神は見つかったの?」


 1人の女性が問う。


 「見つけたわよ。でも…確信が持てないのよ。私の《神ノ瞳》でも確認できなかった。し、邪悪な感じがしなかった。」


 起きた彼女はそうつぶやく。


 「へぇ、じゃあ違うんじゃ無い?まぁ《神ノ瞳》で、看破できなかったのは気になるわね。それと慈愛がどこ行ったのか知らない?ここ最近戻ってきてないのよ。貴方の話を聞いて下界に降りた筈なんだけど。」


 別の女性が問う。


 「慈愛は分からないけどなんだか嫌な予感がするのよ。というか私はなんでここに…戻ってきたの…?ここに戻ってくる直前の記憶が無いんだけど。」


 起きた彼女はつぶやく。


 「さぁ?私たちがここに来たらあなた方倒れてたのよ。気になるなら貴方の依り代に聞いてみたら?知ってるかもよ?」


 また別の女性が答える


 「…そうね、まだリンクが残ってるしこれから通信してみるわ。」


 「それじゃあ私たちも何か無いか調べてみるわよ。神が看破できないなんて気になるしね。それじゃあそっちはそっちで頑張りなさいよ、ラファエル。」


 また別の女性が答える。


 ラファエル…ラフィは自身の依り代であるショウと念話を行おうとするがまだ力が残っていないせいか上手く繋がらなかった。


 「…はぁ、もう少し待って回復させるしか無いか…。ショウ、無事でいてよ。」

 

 

 

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