第29話 魔物暴走 2
魔国…本来魔王が統治し恐怖政治を行っていた国であるが魔王が居なくなった今現在は新たな魔王を決めるため争いが絶えず行われていた。
そんな魔国の南、監獄塔がある方向の森から魔物が大量に現れる魔国にある村が次々に滅ぼされていく。しかしその後から今度は今までこの大陸では見たことの無いモノ達が次々と現れ前で暴走していた魔物を次々と蹂躙していく。
そしてその異形の者たちは元魔王城の前まで到達する。その偉業の者たちの先頭は角月と呼ばれていた者だった。
教国…この国は7人の女神をたたえる徳神教の者達がほとんどであるが、その実人間至上主義でありその他の種族は総て神の出来損ないであると教えられている。
そんな教国にも監獄塔の方向のから魔物が大量に現れる。教国は冒険者の数が少ないが結界を張る事が得意な魔術師達や治癒魔法を使える者が多いためすぐさまその結界を張り他国へ応援を要求していた。
しかし魔物はすぐに数を減らしていく。奥を見ると魔物同士で争っているようにも見えた。そんな中魔物に注意を向けていたためいつの間にか上空から降りてきた女に気付く者は居なかった。その女は9本の尾を持っていた妖妃であった。
獣国…王国と同盟中であり。互いに不足分を補い合う間柄である。魔国から魔王軍が押し寄せてきたときは王国の者と共に戦うことの多い国だ。しかし魔王が居なくなり襲ってくる魔物も減ったため獣国の民は警戒心を緩めてしまっていた。
魔王が居なくなり本来常に警戒し続けていた国の1つである獣国は魔物が大量に現れたことにいち早く気付くことができずに森の近くにあった村はすぐに魔物によって根絶やしにされた。
魔物は勢いを止めることなくそのまま獣国の王都へ向かってくるはずだったが途中の村で完全に消えた。数日後、王都では子供が突然消えしばらくすると現れるという怪現象が頻繁に起こるようになった。
帝国…人間至上主義国家の1つであり多種族の奴隷も多い。魔王が居なくなり真っ先に行動を始めたのがこの国である。その目的は魔国の領土を手に入れる事だったが魔国に居る魔人やそこへの道のりが険しいため、あえなく断念した。
魔物が大量に王都へ押し寄せているとわかると帝国は農民を盾にするなど非道な行いが目立っていた。この国にいた冒険者も手癖が悪く実力も伴っていない者が大半だったためすぐに王都へ侵入を許してしまう。
この魔物の中には明らかに未確認の者が交じっていたが帝国にはそれを判断する余裕もなく冒険者や民は突如巻き起こった風に吹き飛ばされ規則正しい隊列を組んできた魔物によって帝国は完全に崩壊した。
王国…今この国にも魔物の群れ…ではなく異形の者たちが王都へと近づいていた。
ー主人公Sideー
今日はこの世界に勇者として呼ばれてから1か月がたった。いつ起きたのかって?昨日だよ昨日、観光もろくにできなかったさ。
俺たちはここへ来たときと同じ部屋に来ている。これからここで送還の魔法を使うらしい。ほとんどのクラスメイトが、戻ることを選択するなかで、俺、神崎さん、神代の3人がここに残る事になったのだが今日戻れなくてもこの魔法は準備できればそれほど難しくないそうで、いつでも変えることができることを知り、気が抜けた。
「それでは勇者たちよあまりもてなせずすまなかった。元の世界でも達者でな。」
クラスメイトが達が王様と世話になった人達に別れを告げている。
時間になり地面に書かれていた幾何学模様でできた魔方陣が光り出し次の瞬間にはクラスメイトたちはそこには居なかった。
神代や神崎さんも少し寂しそうだったがそれぞれ目標があるのかすぐに顔を上げいつも通りの表情へ戻っていた。
「…さて、残った勇者たちよ、少し話があるので、来てもらえぬか。」
王様は真剣な顔つきで問う。
「えぇ、僕たちも話しておきたいことがあると思うので。」
神代が答え、神崎さんもそれに頷く。俺もそれにあやかり頷いておく。
場所は変わり王室、ここには王様と俺たち3人が居る。
「さて、お主らはこれから此方の世界で何をなすつもりなのか聞かせてもらえんか?」
王様が問うと神代が真っ先に答えようとした。…が、神代が言いかけた瞬間王室の戸が勢いよく開かれる。
「王!スタンピードが怒りました!」
駆けつけた兵は息を切らし告げる。
「冒険者たちで、どうにかできるだろう!そのようなことでわざわざ慌てる出ない!」
王はいきなり現れた兵に怒鳴る。
「そ…それがその魔物は総て見たことが無い姿の物ばかりで王都の冒険者では手も足も出ず…」
それを聞き王様は絶句する。無理も無いだろう魔王が消え衰えた筈の魔物の勢いはそう簡単に戻る物では無い、それにここで新種の魔物が現れそれらに王都の冒険者は勝てない。これだけですでに危機なのだから。
「そ…そして、その魔物を率いてきたと思われる魔人が王と此方の世界に残った勇者を呼べと…もし来なければこの国を燃やし尽くすと…。」
「クッ…、わかった…行こう。案内せい。すまんがお主たちも来てもらって構わぬか?」
王が聞く。
「えぇ、僕もこの国の民を人質に取られたのならそこへ赴かなくては勇者ではありませんよ!」
神代が馬鹿みたいなことを言う。こういうとき、ただ正義感の強いやつは嫌だと思う。
「すまん。感謝する。」
「では此方へ!」
兵が魔人の元へと案内する。そこには無数の魔物と、冒険者がにらみ合っていた。その中央には椅子に座り向かい合っている男性がいた。しかし片方は冒険者とわかるような格好をしていたためわかりやすかったがもう片方は明らかに場違いな服、袴を着ており頭が後に伸びている老人だった。
「おや、これはこれはお手数おかけしました。儂はぬらりひょんと言う勇者たちは聞いたことのある名では無いかのう?」
その老人はぬらりひょんと名乗った。日本のメジャーな妖怪として知られる
『ぬらりひょん』…と。
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