第25話 ゴブリンの討伐依頼 

 翌朝最初に起きた俺はシオンさんとラフィを起こし食堂へ向かった。シオンさんはもともと早起きが習慣として身についているのかすぐに目を覚ましており、ラフィはまだ眠そうだ。


 食堂にはすでに他の宿泊客が集まっておりすでに食べ終わっている人も多かった。俺たちはガーネットさんからお盆の上に乗った朝食を受け取り昨日と同じ席が空いていたのでそこに座ることにした。


 「ラフィはさっき起きたばかりでなんでそこまで食欲があるんだ。」


 隣に座るラフィは昨日の晩と同じ速度で目の前の料理を平らげていく。


 「食えるときに食うべきでしょう?それに天界には食い物なんて果物しかないし神は基本寝食なんていらないからね。こういう機会はなかなか無いのよ。」


 ラフィは天界にいたころを思い出しているのか遠い目をしながら答えた。


 「…ん?ラフィが天界からこっちに来たのまだ一週間もたってねーだろ。」


 「まぁそうね。実際私が食べたかっただけよ。」

 

 ラフィは笑いながら答えると再び食べ始める。シオンにはラフィが女神であることは伝えてあるが敬おうとは思わないらしい。まぁ、目の前で料理を勢いよく平らげてる女神なんか想像できないしな。


 

 

 食事を終えたあと俺たちはギルドへやってきた。ギルドの中は昨日来たときよりも人が少なく、依頼の紙が貼っている掲示板にはほとんど残っていない状態だった。


 「ショウさん達じゃないですか。依頼をうけにいらしたんですか?」


 受付にいたシシリーさんがそう言って手元にあった何かの資料を整え聞く。


 「えぇ、何か初心者向けの依頼はありますかね。できれば討伐系がいいのですけど。」


 「そうですね。ではゴブリンの討伐はどうですか?魔物の数が減っててもこいつらの繁殖力が高くて減らないんですよね。」


 シシリーさんは困った顔で言いながらゴブリン討伐の依頼書とその外の討伐依頼を並べていく。


 「討伐系だとこの中になりますかね。ゴブリンの他はそれなりにレベルの高い魔物が多いので難しいかもしれません。」


そう言って出された紙をみるとゴブリン、オーク、ロックウルフ、トレント等様々だった。ゴブリン意外は見たことがないし初めてから少しの間は堅実に行こうと思う。


 「じゃあ、ゴブリンの討伐でお願いします。」


 「かしこまりました。討伐目標は最低が5体なので倒したら右耳を切り取り死体を焼いて戻ってきて下さいね。それとこちらが貸し出しようのアイテムポーチになります。これに討伐した魔物の部位を入れて持ってきて下さい。」


 シシリーさんは足下から鞄を取り出し説明してくれた。アイテムポーチはそこまで量が入るわけではなく。討伐した魔物の部位を入れるためだけに渡される魔道具らしい。返却は依頼を達成して戻ってきたときに返せばいいらしいが、盗まれた場合は鞄に発信器のような魔法が施されているらしく場所は常に把握されているらしい。討伐までの期間がものによって様々なので、それまでに返されなければ後日ギルドから呼びだされ最悪、資格剥奪良ければ厳重注意らしい。


 「それではお待ちしておりますね。」


 「ありがとうシシリーさん。行ってきますね。…あ、最近魔物の数が減ってる原因とか分かってるんですか?」


 シシリーさんは首を振って答えた。


 「こちらでも調査してるんですが何もわからないんですよ。良いことなんですけどね。商人の方などは、とても困っているそうですよ。」


 「ありがとうございました。じゃあ今度こそ行ってきますね。」


 俺たちはそのまま町の門まで歩き着いた。道のりはしっかりと聞いたので間違えて迷うことは無かった。


 門には警備のための騎士がいたがギルドカードを見せると通してくれた。門は夜5時に閉まるようになっているのでそれまでに戻って来るようにと言われたのですぐに森へ向かう。

 

 「そういえばラフィとシオンはどうやって戦うの?」


 「私はナイフの投擲や暗殺術が得意なので後から攻撃とかですね。魔法は水魔法と火魔法です。」


 まずシオンが答える。暗殺術については城のメイドはまず憶えるべき技術として教えられるそうだ。


 「私は、魔法だけね。忍耐の女神だから攻撃とかは苦手よそのかわり結界なんかは自信があるわ。」


 ラフィは結界で相手を閉じ込めたり自分たちを攻撃から守ることもできるらしい。


 「じゃあラフィが足止めしてその隙に俺とシオンが倒すって形がいいかな?」


 「「そうね。」」


 シオンとラフィが同時に答える。するとタイミング良く森の中からゴブリンが3体ほど出て来たので戦闘を開始した。


 

 

 

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