第26話 傲慢の魔王

 森から出て来たのゴブリンにまずラフィが結界を使い足止めをする。ラフィが創った結界は3体のゴブリンの顔からしたを囲うように創られそこから頭だけが出ている状態になった。俺とシオンはナイフでゴブリンの首に刃を入れのどを切る。するとゴブリンの首から血が噴き出し全身が返り血まみれになってしまった。


 俺はそのときの肉を切る感触自体はそこまででもなかったが。生物を殺した。それも人方であるゴブリンを。見た目が人間に近かったためか何か分からない感情に襲われた。俺はその重圧に耐えきれず嗚咽をもらし吐き出してしまう。


 シオンとラフィが近くまで来て心配してくれて声をかけてくれているが正直それどころでは無い。俺が殺したのは魔物であって人間ではない。これがもっと別の魔物ならまだましだったのかもしれないが冒険者になったからには依頼を受ける必要があり当然、生と死が身近に感じる事が多くなる。もし護衛依頼などがあれば盗賊に襲われるかもしれないそうなれば確実に人を殺すことになる。そうしなければ自分が死んでしまうかもしれないから。


 何分かがたち少し落ち着いてくるとラフィとシオンに声をかける。


 「ごめん…心配かけて…。もう大丈夫だから…。」


 「私たちは気にしてないわよ。地球では自分から殺す事なんてほぼないでしょう。それなら当たり前よ。」


 ラフィが励ましてくれる。シオンが背をさすってくれている。俺はこの二人に何もした覚えが無い頼ってばかりだ。


 「ありがとう。もう、大丈夫だから。早く依頼を達成して帰らないとね。」


 「そうですね、じゃあ頑張りましょう。」


 俺はこの二人にまだ頼っている。せめてこの二人を守れるくらいになりたい…何があっても…。


 


 このあと森の中で再び3体のゴブリンを見つけることができた。これで依頼を達成して帰ろうと思ったときどこからか地響きがなる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴオォォォ


 急なことで転けてしまったが。すぐに森から抜けてみると王都から煙が上っていた。耳を澄ますと悲鳴が聞こえる。すると王都から何かが上空に打ち出されているのが見える。今度は上空から何かが打ち落とされる。


 「シオン、あれ何があったか見える?」


 「遠くてあまりよく見えないけど上空に人…?もしかして魔族でしょうか…?が襲ってきたと言うことだとしたら思うわ。」


 「えぇ、魔族ね。それにこれは恐らく傲慢の魔王よ。」


 「「魔王!?」」


 ラフィが少し焦った表情で魔王というので俺とシオンは同時に叫んでしまった。


 「早く戻らないと!」


 俺はすぐに町へ向かって走り出していた。なんで魔王がこの町に来たのかは全く分からないし、今のレベルで勝てるとも思わない。それでも町へと走っていた。


 「「ショウ!?まって!!」」


 二人に止められたが止まるわけが無い。門には誰もおらず、町は火に包まれていた。あらゆる人が泣きわめき逃げ回り建物に水をかけ人を呼ぶ。建物はほとんど焼けており崩れおちているものもある。逃げ遅れた人は燃える建物から助けを求める子供がいた。家族らしき人はそんな子に泣きわめきながら手を伸ばす。そんな地獄のような光景が広がっていた。


 俺は思わず膝を着いてしまった。確かに二日ほどしかいなかった町だが。それでもいい人ばかりだった。よくしてもらった。それなのにそれが一瞬で壊された。魔王によって。

 

 俺はすぐに城に向かってみるそこにはまだクラスメイトがいるはずだから。少なからずよくしてくれた人や王様達もいたから。


 上空では魔王が城に向かって攻撃しているのが分かる今も頭上で魔法を撃ち合っている。


 城に着くと城はところどころ攻撃を受け崩れているところが多く半壊していた。と、ここで魔王からの攻撃が止んだ。


 俺はその好きに城に入ると地下があるらしくそこに城の人をほとんど匿っているそうだ。


 すると魔王から声が聞こえてくる。


 「勇者はどこだああああぁぁ!!さっさと殺させろゴミどもがぁ!!」


 魔王は完全に切れているらしく周囲を威圧しながら叫んでいる。


 すると城からは王様の声が聞こえる。


 「何故そこまでイラついておるのか教えて頂きたい!」


「そんなもん俺以外の魔王がこんな短期間にいなくなるなんて勇者の仕業に決まってんだろうがぁ!!だから勇者どもを殺しに来たんだよぉ!!分かったらさっさとだせやああぁぁ!!」


 魔王は他の魔王が居なくなったことについて勇者のせいだと思っているらしい。


 「もういい!!この町ごと潰せば勇者ごと殺せるだろ!!死ね!そしてあの世で詫びろ!」


 そう言って魔王は手を真下に向け赤黒い玉を作り出した。その玉は徐々に大きくなりやがて直径が100m程の玉ができた。城からは絶えず阻止しようとするが総てその赤黒い玉へ吸収されていく。


 すると、魔王のさらに上空に巨大な円が広がっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る