第23話 「青の芽の宿」
「宿屋が…見つからない…。」
「そう…ですね…。」
「そう…ね…」
俺たちは今町中をさまよっている。俺たちはただ宿を探しているだけなのになぜ見つからないんだ。
「おい、ここさっき通らなかったか?」
「え?…そういえば通ったような通ってないような?」
「あー…通ったわね…ここ…。」
「「「はぁ…」」」
まさか俺たち全員がここまで方向音痴だとは思わなかった。最初はおっちゃんと別れてどこか歩いてたら見つかると思っていたのに…、いつの間にか明らかにスラム街らしきところを通り町の門に出たり住宅街に出たり…。
「すみません。宿屋はどこか教えていただけませんか。」
まさかここまで見つからないとは思っていなかったので近くで、野菜を売っていたおばあさんに聞いてみることにした。
「宿屋かい?宿屋なら冒険者ギルドの近くに何件かあったと思うけど。あんたら迷ったのかい?」
「えぇ、お恥ずかしながら。」
シオンがそう答えるとおばあさんは愉快そうに笑っていた。
「アッハッハ、ここまで宿屋に気付かず来るなんて凄いねぇ。」
「自分でも驚いてますよ…。」
「あちゃー、こりゃ相当迷ったのかい?」
「本当疲れました…。でもギルドの近くにあったの?」
「あったはずだよ?確か目の前にも1件建ってたはずだけどねぇ?」
「「「えぇ、目の前…。」」」
「まぁ、ありがとうございました。これからギルドの方へ戻ってみます。」
「あぁ、今度は迷うんじゃ無いよ?」
俺たちはおばあさんと別れて再び冒険者ギルドへと戻ってきた。ここまでの道は分からなかったがギルドの建物が大きかったのと色が目立つためすぐに分かる
そしてその真向かいにあるこれまた大きな建物を見ると「青の芽の宿」と書かれた看板が入り口の上に取り付けられていた。
それを見た俺たちは宿屋の前でうなだれてしまった。
「ちょっとあんたらそんなとこでそんな辛気くさい顔されたら客が逃げてくだろ!入るなら入る!違うならどきな!」
「「「はい!」」」
俺たちはいきなりのことですぐに返事をして宿へ入ることにした。
「客ならさっさと入ってくればいいのに。それで?何部屋の何泊?」
「そうですね。3へ…「「一部屋で!」」…一部屋で、とりあえず7日ほどでお願いします。」
「あいよ、一部屋の7日ね。食事は別料金で一食につき銀貨1枚だ。朝と夜出せるが昼はどこか他の飯屋で食ってくれ。」
「分かりました。とりあえず7日分の食事代として銀貨13枚と宿泊料は1泊銀貨2枚で14枚の合計27枚ですかね?」
「おう、毎度あり。食事はこの奥にある食堂で出すから夜の8時と朝の8時にはそこで待っててくれよ。それとこれが鍵だな。207号室だ。2階の一番左だな。あぁ、私はここの宿で働いてるガーネットだよろしくな。」
「はい。よろしくお願いします。ガーネットさん。俺はショウで俺の右がシオンで左側ラフィです。」
「シオンです。よろしくお願いします。」
「ラフィよ。よろしくね。」
「ショウにシオンにラフィだね。それじゃあ良い日を。」
ガーネットさんと別れ俺たちは部屋に向かうことにした。
部屋につき俺たちはベッドが3つあることに安心し俺はすぐにベッドへ飛び込んだ。やっぱりこれをしなくちゃな!
ベッドはシーツがぐちゃぐちゃになりあとで直すのが大変そうだったがきっとシオンさんなら直し…「直さないからね?」…無理だった。面倒臭いことをしてしまった….。
ともあれ無事に宿に着いたので俺たちは歩き疲れたせいかすぐに寝てしまった。そして起きた頃には7時半を回っており俺はシオンとラフィを起こしてすぐに食堂へ向かうのだった。
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