第22話 冒険者ギルドとオークの肉
ギィッと音をたて扉が開く。その音に気付いた中にいる数人の人に見られるが、俺は真っ直ぐに受付らしき人のいる所へ向かった。
受付の人はとても可愛らしい女性だった。彼女に少し見とれているとなぜか背筋に寒気が走ったが気にしないでおこう。
「冒険者ギルドへようこそ、依頼ですか?」
多分俺たちが子供に見えたこととあまり見ない顔だからそう言われたのだろうか。
「登録をしに来たのですがよろしいですか?」
そう言うと彼女は申し訳なさそうに誤りなにかを漁っていた。
「申し訳ございません。ではこちらに記入して頂けますか?」
どこからか紙とペンを取り出す。記入箇所は名前、出身、主な戦闘スタイル、使える魔法やスキルなど様々だったが最初の3つが書かれていれば充分とのことだった。
「シオンさん、出身地ってどうすればいいですか?」
「ごめん、私もどうすればいいの?ここに来るまで神界にいたんだけど。」
「えぇ…、全員この辺って訳にはいかないわよね。ショウの髪と目はここら辺じゃ見ないし、ラフィはここでいいんじゃない?」
「そうだよな、どこがいいか分かる?」
「え、私の扱い雑じゃない?」
なんかラフィが落ち込んでるが気にしないでおこう。
「ショウと似た特徴の国が他の大陸にあるらしいけどそこでいいかしら?ジパンって言うらしいけど。」
「うん、そこでいいかな。ありがとシオン。」
シオンに言われ紙にジパンと書き戦闘スタイルは無難に剣士にしておく。ラフィとシオンも書き終わり紙を受付の女性に渡す。
「はい。確認しました。冒険者について説明いたしますか?」
受付の女性は受け取った紙をまとめ手元に置く。
「はい。お願いします。」
「それでは説明させていただきますね。まず冒険者にはランクがあります……」
冒険者についてランクにはF~AまでありFが新人、Aがベテランと徐々に高くなっていく。例外としてAの上にSランクがあり、偉業を成し遂げた者に王から与えられる称号である。ラングが上がる条件は依頼の数によるが基本は自身と同ランクの依頼を100件こなし昇級試験である自身のランクより一つ上の者との模擬試合を行い認められれば昇級できる。この方法以外でランクを上げた者はいない。
「………っと言う感じですね。あ、ギルド内での暴行など争いごとはご法度ですので、最後にこのプレートに血を流してください。それで登録が完了しました。そのプレートは無くさないで下さいね。再発行には時間もお金もかかりますから。」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね。えーっと…」
「あぁ、名前言ってませんでしたね。私はシシリーと申します。では頑張ってきて下さいね、ショウさん、シオンさん、ラフィさん。」
「ありがとうシシリーさん。それじゃあまた今度。」
そう言って俺たちはギルドをあとにした。この途中で冒険者に絡まれるというテンプレは起らなかったのが残念だ。
「これからどうするんだ?」
「そうね、お腹も空いたし宿を探す前に何かかべましょうよ。」
ラフィが聞きシオンが答える。確かにお腹が空いたのでまずは腹ごしらえをすることに決めた。
ギルドに来たときに見つけた屋台を見に来た道を戻っていく。すると肉を焼くいい匂いがしてきたのでそれにつられその匂いの出所を探すと人は少ないが美味しそうな肉を焼いている店があった。
「お、買ってくかい?兄ちゃんに嬢ちゃん達?」
「あぁ、ここは何を売ってるんだ?」
そう聞くと店主は焼いていた肉を皿に移し自信に満ちた顔で皿を差し出してきた。
「まぁ先ずは食ってみな、試食用だから金はいらねぇ。」
俺は皿を受け取りその上に乗っている一口大の肉を口に入れる。焼きたてなのでとても熱いがその肉は噛むほどに甘い肉汁が溢れ、肉の旨味が口に広がりとてつもない満足感があった。
「何これ、うまい!」
「凄い美味しい!」
「いい腕してますね!」
そしてラフィとシオンも美味しかったのか笑顔で店主を褒める。
「こいつはなぁ、オークの肉をただ塩で焼いただけだぜ。ただのオークじゃねぇけどな。」
「へぇ、オークってこんなに美味しいんだな。オークってどんな奴なの?」
「オークはゴブリンと同じく弱い魔物とされていますがゴブリンよりも繁殖能力は低いですね。ゴブリンは本当に素材にも食料にもなりませんごオークの肉はとても美味しくこの国でもよく食べられますよ。ただ私もここまで美味しいものは初めて食べました。」
「そりゃそうだろうよ、なんせこのオークはジェネラルの肉を使ってるからな!」
「ジェネラルですか!オークでもここまで変わるのですね。」
どうやらこの肉はオークジェネラルのものだそうで通常よりも体が大きくかなりの重装備をして周りに通常のオークを数体つれて現れるそうだ。なので討伐するのにもかなりの手こずるらしい。
「どうする?一個金貨1枚だ!」
高い!今の所持金じゃ少し心許ないのでまた今度にする。
「ごめんおっちゃん今の手持ちじゃちょっときついから今度稼いだら買いに来るよ!」
「おう、まってるぜ!何か肉を持ってたらすぐに焼いてやるよ!」
おぉ、おっちゃんは凄くいい人だった。ともかくまだ腹がふくれたわけじゃないがオークジェネラルの肉がかなりの満足感を与えてくれたので宿を探すことにした。
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