第7話 3人
神話について聞いているとショウに与えられた部屋の前まで来ていた。その扉の前には、神崎さんが立っており話しをしているショウとシオンに気づき二人の方へ走って行く。
小走りで走ってきた神崎さんは少し焦ったように見えた。顔を見ると汗をかき顔も少し赤くなっていた。
「神崎さん、他のクラスの人達は大丈夫だった?」
そう聞くと神崎さんは首を横に振った。
「クラスの人達はほぼ全員が始祖魔法に介入されていたわ、無事だったのは村神くんと神代くんね。そっちはどうだったの?」
「城の人達には今伝えてると思う。確認したらこっちにも連絡するって。」
「そう、そちらの方は?」
神崎さんはそう言うとシオンさんへと目を向けた。
「シオンと申します。カンザキ様…でよろしいですか?以後お見知りおきを。私のステータスは無事ですよ。」
シオンさんは軽くお辞儀をしたあと自己紹介とステータスが無事であるとこを話した。
神代と村神だけが平気だったのはなぜなのかは気になるが話を聞くと始祖魔法に介入されていても実質何の影響もなかったらしい。
するとそこへ扉をたたく音が鳴った。扉に向かって返事をすると先程の騎士の声が聞こえたので部屋へ入れる。騎士は特に焦った様子もなく城の人達には始祖魔法の影響は出ていなかったそうだ。ただ、この事を聞いた王様が予定を変更することにしたらしい。流石に原因が分からないのにゆっくりとしていられないそうだ。
「変更した予定は明日話すそうだ。今日のパーティーを行った部屋で説明すると言っていたから場所はわかるだろう。メイドにも案内させるしな、問題はこちらの世界でゆっくりできなくなったと言うところか、残るものはすぐにでも訓練を始めるそうだ。この事は他の勇者様方にも言っておいてくれ俺は今回の件を調べてくる。それではな。」
そう言って騎士は部屋を出て行った。それを聞いていた神崎さんは難しい顔をしていた。俺のいるクラスでは正義感の強い奴が数人とその取り巻きがいる。神崎さんはそんな正義感の強い人の一人だ他の数人も恐らく残るのだろう。かなり悩むだろうがこの世界の送還魔法が高性能だし元の時間に戻れるというなら今だゲーム感覚の奴らがいるならそいつらも残るだろうな。かくいう俺もそのゲーム感覚の一人だが。
この時、他のクラスメイトはそれぞれメイドから事情を聞かされていた。それぞれのメイドはクラスメイトから色々な返事を聞いていた。正義感に溢れる者や、自由に旅をしたい者、探したい者があるという者と様々だったが、この時すでにこの世界に残ることを決めた者もいた。一人は魔王を倒すことを決め、一人はこの世界で自由に生きることを決め、一人は捜し物をすることを決めていた。このうちの二人はいずれお互いの敵になるなど思ってはいなかっただろう。
「神崎さんはとりあえず部屋に戻ってから決めたら?ここじゃゆっくりと決められないでしょ?」
「…そうね、ごめんなさい。そうさせてもらうわ、それじゃまたね。」
そして神崎さんは自室へ戻る、そして神崎さんが扉を閉めた時、いつの間にか隣にいたシオンさんから声がかかる。
「これから先気をつけてくださいね。貴方の他に二人特殊な人が混じっているかもしれません。これは私の推測ですので懐にとどめておいてください。いずれ魔神が…いえ、それよりも巨大な……これも違いますね。なんと言えば良いでしょうか、とにかく恐ろしく奇妙な何かでしょうか?そんなものが現れる気がします。それによる災害に貴方は巻き込まれるでしょう。」
シオンさんは推測というよりも予言に近い事を口にした。そして二人、魔神、何か、ここに来て情報が多すぎて正直混乱している。シオンさんを部屋から出し俺は寝た。これから先の事なんてまだ考えることじゃない、俺はこの世界を自由に見て回りたいだけなんだから。
こうしてショウは騒がしい一日を終えた。
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