リリーサイド・ディメンション《Lily Side Dimension》@百合の世界を統べる後宮王《ハーレムキング》の物語~自動回復する長髪の少年は少女たちの世界を救うために転生して女騎士の学校へ通う~
第10話 新たな主――チハヤ・ロード・リリーロード
第10話 新たな主――チハヤ・ロード・リリーロード
*
――
オレは「
『新たな主よ! わたくしと結婚して!!』
まだ一日も経過していないのに、お祭りムードとは、これいかに?
「新たな主であるチハヤ・ロード・リリーロードさまが降臨されましたわ。これでこの国も安泰ですわね」
「そうですわね。マリアン女王さまが『ネコ』になると宣言したそうではないですか! これはこれで問題ですわよ」
「ええ。大浴場から流星が降ってきたと思えば、こう一日で目まぐるしく場面が展開することをなんと呼べばいいのでしょう?」
「それは、おそらくアレですわよね? 図書館にある本の『剣の達人』の……」
「ああ、『あの絵本』は衝撃的でしたわね。いろいろと」
話の論点がズレてきているような……でも、気にしたらいけないのだろう。だって、ここは異世界なのだから。
……今の会話はオレが
ちなみに「タチ」は攻め、「ネコ」は「受け」という意味だ。
で、問題は、ここからだ。
どうしてオレは女王さまのベッドの上で女王さまに押し倒されようとしているのか?
「さあ、ユリミチ・チハヤさま……いいえ。新たな主、チハヤ・ロード・リリーロードさま。わたくしと交わってくださいませ」
マリアン女王さま、「ネコ」になる宣言したというのに「タチ」のように攻めるとはこれ
「マリアン女王さま、それはできない。オレは人と交わることができない体なんだ。女王さまが魅力的じゃないってわけじゃない。オレは『不能』なんだよ」
「えっ、どういうことです、の……?」
オレはベッドから立ち上がり。
「ごめんな……」
……と、言って女王さまの部屋を出ていった――。
――マリアンの部屋を出て、メロディとユーカリに「牢屋でもいいから寝かしてほしい」と頼んだ。
でも、メロディは「チハヤさまを牢屋で寝泊まりさせるなんて恐れ多くてできませんよ」と言い、ユーカリも「チハヤさまには、もっといい部屋へとご案内させていただきますです。そう、かつて『主が現れたときのために作られた特別な部屋』へ案内させていただきますです」と言ってくれた。
……オレは、おそらくリリアが
(女神像……おそらく現代風のワードに置き換えると『リリアの等身大フィギュア』が飾ってあるよ)
二千年間、現れていないリリアからしたら降臨しづらいだろうなあ……――。
――翌朝。
メロディとユーカリがオレの部屋に来てくれた。
「チハヤさまは、これからどうされるのですか?」
メロディはオレのことを気遣って聞いてくれた。
オレは気になっていることを単刀直入に聞いた。
「この世界には『学校』ってあるの?」
ユーカリが答えてくれた。
「エンプレシアには、ひとつだけ学校がありますです。『エンプレシア
「つまり、
「はいです。でも、あたしたちは魔物と戦うので精一杯です」
「わたしはチハヤさまが
「教えてくれてありがとう。オレも、その学校に入ろうかな、って思ったんだ」
『チハヤさまが!?』
メロディとユーカリは声をそろえて言ってくれた。
「そんな、チハヤさまが入ってくれるだけで……すごく、わたし、すごく……わたしはうれしいですけれど……」
「でもでも、チハヤさまは新たな主です。あたしが思うに学校に入る必要はありませんです」
「いや、入学させてほしい。オレは取り戻したいんだ、過去を」
『過去?』
「ああ、オレにもう一度やり直すチャンスをくれ」
オレは学校が嫌いだ。だけど違う世界で違う学校に通い直したら違う結果が待っているかもしれない。オレは学校の悪い思い出を良い思い出に変えていきたいんだ。
「わかりましたよ。チハヤさま」
「あたしたちは大歓迎ですが、マリアン女王さまは、どういたしますです?」
「問題ありませんわ」
マリアンがオレの部屋に現れる。
「わたくしの『貝合わせ』に付き合ってくれなくてもチハヤさまへの想いは変わりませんわ。わたくしは『
関係あるのか、それ?
「ですが、入学試験を受けていただきますわ。チハヤさまが、どの程度の能力をお持ちなのか、試させていただきますわ。これから、わたくしの騎士になっていただくチハヤさまにやっていただくのは簡単なテストですわ」
マリアンがメロディに小さな箱を運ばせてオレに手渡す。
「能力判定を行う
メロディがそう言った後、ユーカリが――。
「――あたしが、この電子機器のディスプレイに表示される数値を確認しますです。その数値でチハヤさまの強さが数値化されますです」
「
「そうです。チハヤさまの強さ、これでわかるってわけです」
「わかった……
「こ、これは……」
ユーカリがオレの数値を評価する。
「
「なるほど。これがエンプレシアを守る主の力ってわけですわね。ますます『貝合わせ』したくなりましたわ」
ナチュラルに淫乱だな……。
「そんな結果なら騎士学院に入学する意味ないんじゃなくて? 即戦力レベルだわ。すでにアスターを超えていますわよ」
「でも、オレは学校に通いたい。そう思うんだ。なあ、マリアン。この学校には飛び級制度はあるのか?」
「もちろん。能力のある者には認められていますわ」
「なら……十七歳になる年齢で飛び級しない学年への入学を許可してくれ」
「それでいいのですわね? この世界で最強のアスターに匹敵する強さを持つあなたにはたいしたことのないレベルかもしれませんわよ」
「それでいい。オレの思い出は、ここから作り上げられていくのだから」
「なら、わたくしと同じクラスへ来るといいですわ。
マリアンは意思を確かめるように。
「……あなたの
要は
なので、本当の正式名称は日本語なのである。
「ああ、わかった。――
剣を手渡されたマリアンはメロディに剣を預けた。
「これからメロディとユーカリに
オレは了承した。
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