第3話

<従兄弟>

「よしっ!俺も!」

「ちょちょ、ちょっと待てお前らまだ理解も浅いお前らが下手に家ん中で魔法を使うのは危険だ、家の隣に滅多に魔物が出ない大きな草原があるそこでやろう、な?」

何だか肩透かしをくらい気合が落ちたが確かにダニアルの言うとうりだ

「そうだな、パンダ、相沢さん、取り敢えず、必要な荷物を持って外で練習しよう」

「ok」「そうだね」

♢♢♢♢♢

「よしっ、じゃあ、横体に並んだら、各々精霊に干渉してみろ」

「よしっ、今度こそっ!」目を絞り精霊に触れるイメージで右手に魔力を転移させる。


<私>

パンダが右手に集中していると、ダニアルが声を出した。

「おぉ、おぉ」

特に何も起きていないパンダの方を見てからあえて鬱陶しい感じを出しつつ聞いた。

「なになに」

「いま、ホコリが舞ったぞ」

ズッコケる俺とパンダ

「それくらいで大げさな声出すなよ」

と言い切る前に、俺の後ろで明らかに焚き火レベルではない熱を感じた。

「お、おいぃぃぃなんでいっつも相沢さんだけなんだよぉお」パンダが後ろで嘆いているのも構わず、俺は相沢さんを見ていた。

自分の背丈よりも大きい炎に照らされたその横顔に、俺は見惚れていた。


<従兄弟>

「綺麗だ……」

「えっ!?」

「え?、あ、あいや、その、炎がね、うん炎が綺麗だなぁってさ、ハハハ」

「あ、炎ね!そっかそっか、炎、ね…」

「なんかいい雰囲気すぎてうぜぇから、攻撃魔法!童貞の埃(誇り)!!」

「うわっ! ごほっ」「きゃ!こほこほっ」

「何すんだよパンダっ!」

「ホントだよぉ、もう埃まみれじゃん」

「けっ!ていうか、人の魔法に見とれてる暇あったらお前も魔法出せよアキネ!」

「分かってるよ! よし、行くぞっ!」精霊、精霊、よし精霊に触れたあとは、魔力を対価に魔法に転換してもらえば、成功だ。


<私>

俺はさっきの相沢さんの炎をイメージした。

「あ、そう言えば、詠唱とかって必要なんだよね」

「おう、嬢ちゃんが特別なだけで、普通はどんな魔法にも詠唱がある、お手本はこうだ」

そういうとダニアルは、何やら唱え始めた

「炎の精霊よ、我が魔力を糧に、汝の力をここに示さん、アグニフレイム!」

僕達は目を見開いた、相沢さんの時よりも2倍、いや3倍はある火柱が空に上がったのだ。

「これくらいで驚くなよ、これでもBランク程度だぞ」

「こ、これでBランク…と、とにかく、俺もやってみるよ」

俺はダニアルと同じ詠唱を唱えたが、何も起こらなかった


<従兄弟>

なかった、いや、正確には何も起こらなくしたという方が正しいのか、俺は詠唱を唱え、確に精霊に触れ、確実に魔法を出した、その結果、ダニアルの火柱は消えオマケに相沢さんの炎、パンダのホコリまでもが無になっていた、

「なんだ、これ」

「いきなり私の炎が消えちゃった、それにダニアルさんのもパンダくんも」

「名前はアキネ、だったよな? 今何をイメージした?」ダニアルの余りにも真剣な低い声で問うてきた。ダニアルの初めて見る顔が事の重大さを表していて、言葉が喉につまり出こなかった。

「おいっ!何とか言え!アキネ!」


<私>

「い、いやぁ、なんか近くに精霊がいた感じがしたから、そいつに命令した、んだけど」

「今お前が魔力を与えた精霊は、自然界に存在する精霊ではない」

パンダも、相沢さんも、俺の方を見つめている。

こ、これは、俺にだけの特別な力来たか?

俺は目を閉じ、周りにいる精霊を肌で感じようとした。

「おい!精霊に魔力を与えるな!」

俺の体を揺さぶる誰かがいる。俺はそれを遠くから眺めている様な感じに浸る。

精霊の声が聞こえてきた、とても冷たい声だった。

『あなたに言葉を授けましょう、言われた通りに唱えなさい』


「ベガルタ」




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異世界転移物語をリレー小説で書いてみた Hail @mobuyuki

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