第2話

<従兄弟>

「ま、まてまて一旦状況を整理しよう、まずは別の世界ってなんだ?」た、確かにこういう時はさすがパンダだぜ

「爺さんはその別世界では有名人であらゆる名声と富を手に入れていたらしい 愛人も何人もいたとか」おい……小次郎 見え…張っちゃったんだな…… 俺らはお前の黒歴史を墓まで持っていくぞ だから安心して眠れ

「あ、あぁ有名人だよな?パンダ」

「お、おぉ」パンダはビックリするくらいか細い声で同意した

「で、俺らが居た場所が別の世界って事は、ここは何処なんだ?」

「ここの国か?ここは、魔帝が元首の国 イシュタティア」


<私>

「つまり旅館にいた私達は何故か全く別の世界に別々の時系列で転移してしまった、という所かなあ」

「あ、相沢さん!起きてたんだ」

「うん、アキネくんが私を揺さぶりながらさり気なく胸を揉んでる所から起きてたよ」

「っう…さ、触っちゃってた、かぁ」

「何してんだよアキネ」呆れるパンダ

「悪い悪い」

「本当に謝るべきは私に対してじゃないかなあ」

「ほんと、すみませんでした!」

俺は深々と頭を下げた。

「でも、相沢さんが要約してくれたお陰でなんとか飲み込めてきたよ」とパンダが言い、俺も「それな」と言った。


<従兄弟>

「あのー、カッコ良く国名を言ったはいいものの有耶無耶になったんだか?」

おっと、忘れてたよ…おっさん

「すいません、そ、それで異臭…何でしたっけ?」

「イシュタティアだ!イシュタティアそんな間違えしたら、魔帝直近騎士に跳ねられるぞ!」

「す、すいません それで魔帝が元首の国ってことは

「多分魔法が使える世界なんじゃないかなぁ?」

え?」

俺のもしかしたら?な部分を相沢さんが断言した

「え?まじすか?相沢さん」

「うん、パンダくんさっきこのおじさんが治療してくれた時、いかにも魔法って感じだったし、そのお陰でほらっ」


<私>

相沢さんは腕をぐるぐる回して見せた。

「ああ、その通り、この国では擦り傷の手当て程度の簡単な魔法なら誰でも使えて当然だ」

そういうと、オジサンはその魔法をパンダの捻挫した足で実践して見せた。

「まず、すり潰した薬草を足首にぬる、それからこの紙に六芒星を絵描き、詠唱する。我が魔力を糧に活きる者よ、汝に命ずる、この者の傷を癒せ、ヒール」

パンダの顔が驚いた表情に変わる。

「どうした!?」

「実はずっと足の痛みが治まらなかったんだ、でも、今は全く痛くない」

「お前、痛かったなら初めから言えよ」


<従兄弟>

「いや、この状況で足が痛いよぉなんて言ってたら序盤で死ぬキャラ確定でしょ、やだよそんなフラグ」

「フラグって何??Flag?旗?」

ほらぁ、俺ら十八番のリア充になんて説明すればいいかわからんやつだよぉ

「あー、なんて言うか、まあ旗が立った!見たいなやつだよ、うん」

「ふぅーん、ま、いいやそれで、話を戻すけど、この国では魔法は一般教養レベルのものなんですか?ダニアルさん」パ&ア ダニアルって名前だったのかぁ

「あぁ、古来よりある魔法はイシュタティアの中央にある魔皇帝の祖先が広め普及したと言われている」


<私>

「魔法かぁ、俺達も使えるのかな」魔法を使うというのは、男なら誰しも一度は願った夢だ。

「まあ訓練次第だな、例えば、そうだな」ダニアルが奥の方をガサゴソと漁って何やら絵本のようなものを取り出してきた。

「これは7歳次から学ぶ初期魔法を絵本でわかりやすく解説したものだ。ここに書いてある最も簡単な魔法、風で埃を浮遊させる魔法がある。この程度なら杖も詠唱もなしで行えるから、今すぐにでも試せるだろう」

やってみるか、と絵本を手渡された。

「ふっ、ここで俺の魔法の才能が花開き誰もが驚くほどの突風が巻き起こるフラグきたぁぁ


<従兄弟>

「パンダそのフラグは立ちずらい諦めろ…」パンダに慈悲の目を贈りながら俺はパンダが持ってるその本を奪い取り中身を確認する

「へぇー、フムフム って俺ら字読めねぇじゃん…」「あ」「はぁー」うわぁ、相沢さんも呆れちゃったよ、でも何で発話は理解出来るんだろう?

「多分それも魔法でしょうね」ぐうぉっ何故考えてる事が分かったんだ相沢さん

「アキネ君は、わかりやすいんだよねぇ?」そう言って後ろに手を組み身長差でオートマチック上目遣いで見つめてくる 怖可愛い

「その娘の言ってることは正しいぞ、ほれっこれを読んでみろ」


<私>

「なになに、あれ?読めるぞ、読める読めるぞぉ」

「なんて書いてあるのかを教えろよ」

俺がパンダの頭にチョップをお見舞いする。

「視覚と聴覚における、魔力への働きかけ?」

「その通り、俺達の体内には血液と一緒に魔力と呼ばれるエネルギーが流れている」

「いえ、流れていません」

「いちいち話を止めるな」もう一度チョップをお見舞いする。

「魔力というのは流れている場所によって働きが変わってくるのだ、手に流れている魔力は、手を伝って魔法の杖などに流す事ができ、杖はその魔力を空気中に存在する精霊に与えて魔法を起こす」


<従兄弟>

「なるほど、つまりは、杖を媒介に魔法を放てると」

「そういう事だな、嬢ちゃん俺も学はない方だから基本しか教えられんが、魔法を放つには杖を媒介にしなければ放てない 、手での魔法はどうしても、不安定になる上強力な魔法になればなるほど、腕の負担が途轍もないんだ」

「でも、ここに…第五回域魔術師に置いては媒介を無しに「あぁーそれはなぁ」」にっこりニコニコどっかのツインテールアイドルもビックリの笑顔で「お前らには、関係ない!」

「「うぜぇ」」「こうやるのかなぁ」

「え?ちょっと待て嬢ちゃん、それ…」


<私>

相沢さんの広げた手の上で炎が生まれ、そして踊り出した。

パンダが持っていた書物を片手に、もう片方の手で魔法を生み出している。

「目や耳を通る魔力に命令を与えると、文字に宿る精霊が言葉を理解させてくれるって、そうここに書いてあるよ」

「あ、あぁ、でも俺は嬢ちゃんの魔力には命令していないぜ、それに練習もなしでそんな、炎を操るなんて」

「ここにやり方が書いてあったから」

学校にいる時から分かってた、相沢さんは天才なんだ。

「俺も出来るはずなんだぁぁ」

パンダが相沢さんを真似て見るが、何も起こらない

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