第4話温泉のある宿
ささやかな宴会を終えて布団に入る。
今夜こそぐっすり眠れると思ったのにまた夜中に足袋の音がした。
絶対に目を開けないと思っても
聞こえてくる音
スッスッスッっという音に加えてザリザリいう音がする
でも、無理やり目をつぶって寝てしまった。
朝起きると部屋の真ん中に誰かが立ってスーツに着替えている
びっくりしたようにこっちを見た。
何秒間か見つめ合った気がする。
その時、なぜか友達の彼かと思ってしまった
だって顔がそっくりだったからそしてそのまま寝てしまった。
朝起きてその人がいないのに気付いた
当たり前だ、来ていないのだから・・・
そのことを話すと足袋の話が出た、ザリザリ言う音も荷物をまとめて
廊下を歩くと友達が「あれ」と言った。
犬のはく製が少し破れていた、下におがくずがたまっている。
帰りは普通に帰れた、そしてしばらくしてから電話が来た。
その友達からだった。
「あのさあ、スーツに着替えていた人いたんだよね」
「うん」
「着いてきたみたい」「ええっ」
友達が真っ暗な玄関を開けると、暗闇にスーツを着た男の人の上半身が
浮かんでいたらしい、何秒間かで消えたみたいだけど・・・・・
これはいまだに意味が分からなくて、ただあの髪の毛は
確かに本物だった。
それが一番不思議に思う
完
温泉のある宿 のはらきつねごぜん @nohara
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